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2020年03月12日
  • 研究資料

いま、なぜ定年、継続雇用年齢の引き上げなのか?

我が国では、高齢化が進んでいます。全人口に占める65歳以上人口の割合は上昇を続け、2018年には28.1%に達しています。さらに、2065年には38.4%と4割近くに達する見込みです(図表1)。少子化も進んでおり、中長期的には労働力人口の減少が見込まれることから、高齢者が長年培った知識・経験を十分に活かし、意欲と能力のある限り社会の支え手として活躍し続けることのできる社会の構築が求められています。

図表1 日本の人口推移
資料出所:総務省「国勢調査」及び「人口推計」国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成30年10月推計):出生中位・死亡中位推計」(各年10月1日現在人口)

一方、高齢者の側は、現在就労している60歳以上の者の約4割が働けるうちはいつまでも働きたいと回答し、70歳くらいまで、もしくはそれ以上との回答と合計すれば、約8割が高齢期にも高い就労意欲を持っていることがうかがえます。(図表2)。

図表2 高齢者の就労意向と就労希望年齢
資料出所:内閣府「高齢者の地域社会への参加に関する意識調査」(平成26年)60歳以上の男女を対象

『令和元年「高年齢者の雇用状況」集計結果』(厚生労働省)

によると、2019年6月時点で法に定められた雇用確保措置を実施している企業の割合は99.8%となっています。

定年制度を導入している企業の状況をみると、①65歳を定年とする企業27,713社(前年比2,496社増加)、報告した全ての企業に占める割合は17.2%となっており、企業規模別では、中小企業(31 ~ 300人)では25,938社(2,253社増加)、17.9%、大企業(301人以上)では1,775社(243社増加)、10.6%となっています。

また、②定年制を廃止している企業4,297社(184社増加)2.7%、③定年を66 ~ 69歳とする企業1,442社(210社増加)0.9%、④定年を70歳以上とする企業2,164社(254社増加)1.3%となっています。①~④を合わせても22.1%(前年20.7%)と、増加傾向にあるものの、定年年齢について、65歳超への取組みはまだ進んでいないようです。

また、66歳以上働ける雇用制度の状況についてみると、希望者全員を対象とした継続雇用制度を定めている企業は6.8%(前年6.0%)、基準該当者66歳以上の継続雇用制度を定めているのは10.3%(前年9.8%)66歳以上定年を定めている企業と定年制度なしの企業などと合わせ、66歳以上まで働ける仕組みのある企業は30.8%(前年27.6%:3. 2ポイント増加)となっています(図表3)。

図表3 66歳以上働ける仕組みのある企業(n=161,378)
資料出所:厚生労働省「令和元年 高年齢者の雇用状況」

人生100年時代を迎え、働く意欲がある高齢者がその能力を十分に発揮できるよう高齢者の活躍の場を整備することが求められており、「成長戦略実行計画」(2019年6月閣議決定)において「70歳までの就業機会の確保」法制化の方向が示されました。今後、「高年齢者就業確保措置」を企業の努力義務として規定し、2021年4月の施行を予定する高年齢者雇用安定法の改正が図られます。

そうした中で、既に60歳以上の従業員割合も2割近くにまで増加しており、雇用確保措置の段階から戦力化を図る段階へステージが移行しています。

65歳までの方には、これまで以上に戦力として力を発揮してもらうことが必要であり、定年年齢の引上げが有効な手段になります。また今後は、上述のとおり、これまで以上に65歳を超えた方にも力を発揮してもらうことが必要となってきます。65歳を超えた方の雇用をさらに進めるためには、それぞれの特性に応じた活躍のため多様な選択肢が考えられますが、その答えの1つとして継続雇用制度の上限年齢の引上げが求められます。

■高年齢者雇用確保措置とは

「高年齢者の雇用の安定等に関する法律(高年齢者雇用安定法)」(2012年改正。2013年4月1日施行)により、65 歳未満の定年の定めをしているすべての事業主は、次の①~③のいずれかの措置(高年齢者雇用確保措置)を講じなければならないと定められています。
①65歳以上への定年引上げ
②希望者全員を対象とする65歳以上の継続雇用制度の導入
③定年の定めの廃止

■雇用保険法等の一部を改正する法律案の概要(抄)

65歳から70歳までの高年齢者就業確保措置(定年引上げ、継続雇用制度の導入、定年廃止、労使で同意した上での雇用以外の措置(継続的に業務委託契約する制度、社会貢献活動に継続的に従事できる制度)の導入のいずれか)を講ずることを企業の努力義務にするなど、70歳までの就業を支援する。

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