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紀和工業株式会社

-地域インフラを支える高齢人材の力と制度改革-

  • 70歳以上まで働ける企業
  • 賃金評価制度の改善
  • 戦力化の工夫
  • 能力開発制度の改善

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紀和工業株式会社のロゴマーク

企業プロフィール

  • 創業
    昭和45年(1970年)
  • 本社所在地
    高知県高知市
  • 業種
    建築業(管工事、機械器具設置、水道施設等)
  • 事業所数

導入ポイント

  • 雨水ポンプ場の管理業務において、高齢従業員を安定的な戦力として雇用
  • 高知県UIターンサポートセンター、従業員の縁故により採用
  • 大雨時の突発的な事態においても、高齢従業員が負担なく働ける環境の整備
  • ポンプ場連絡会の設置や柔軟な勤務制度などを通じて、現場の声を反映しながら制度の維持・ 改善に取り組んでいる
  • 高齢従業員の活用により、緊急時の対応力が向上し、従業員の残業削減にも貢献
  • 他業種出身者の経験が職場環境の改善や連絡体制の強化につながり、取引先との信頼関係構 築にも寄与している
  • 従業員の状況
    従業員数 34人 / 平均年齢 56.3歳 / 60 歳以上の割合 60~64 歳 20.6%  65 歳以上 20.6%
  • 定年制度
    定年年齢 70歳 / 役職定年 65歳
  • 70歳以上継続雇用制
    制度の有無 有 / 内容 希望者全員を75歳まで継続雇用
2026年02月01日 現在

同社における関連情報

■企業プロフィール

1970(昭和45)年に創業。高知県を中心にインフラ整備や防災事業を展開。「人・自然・水を守る」を理念に、地域社会と環境に貢献する技術力と信頼を築いている。

高齢従業員が長く働ける職場づくりを整備することは、高齢者雇用を進める上で大事な施策ですが、その際に高齢従業員の意見や要望にも耳を傾けることも大切です。ポンプ場連絡会は高齢従業員の発案で設置された機関で、職場の風通しや情報共有、社員同士のコミュニケーションの円滑化、信頼感の醸成につながっていることが同社の取組のポイントです。

雇用制度改定の背景

Q.仕事の内容について教えてください。

当社の事業内容は、管工事、機械器具設置工事などの工事業務、雨水ポンプ場の管理業務が中心です。街中に降った雨水は水路を通じて川に流れ込みますが、満潮時などで川の水位が高い場合、自然排水が困難になります。このような状況で、雨水を強制的に排水する役割がポンプ場の機能です。雨水ポンプ場の管理は主に高齢従業員が担当しており、週1回の点検や月2~3回の見回り、大雨時の対応などを行っています。勤務は自宅から直接現場へ向かい、月1回、ポンプ場連絡会のため本社に出社しています。また業務の繁閑により、雨水ポンプ管理をしている高齢従業員に管工事などの工事業務を依頼することもあります。

Q.制度改正のきっかけは何でしたか。

当社が委託を受けているポンプ場の管理は、平時は週に1度の点検と月に数回の見回り業務が中心で、大きな負担が発生する業務ではありません。しかし大雨の際は場合によっては数日間ポンプ場に詰める必要が生じます。そこで、年金+αの給与で就労を希望する専属の方を探していました。そのような折、高知県UIターンサポートセンターを通じて高齢従業員の採用ができたことをきっかけに高齢従業員の採用が進んでいき、受け持つポンプ場も増やすことができました。こうした状況で定年年齢の延長を決めました。

Q.どのように制度改正を進めていきましたか。

制度改定前も運用で定年以降の方の雇用を行っていましたが、従業員の年齢に対応する形で定年の引き上げを制度としても段階的に行っていきました。現在は定年70歳、希望者全員継続雇用75歳ですが、皆さん自主的に筋トレを行うなど元気な方が多くいらっしゃいます。今後、健康診断の結果しだいでは80歳までの勤務も視野に入れています。

Q.制度改定後どのような効果がありましたか。

緊急時に求められる業務を高齢従業員に担ってもらうことで、通常業務を行っている従業員の時間外労働を減らすことができています。また、他業種から新たに雇用した高齢従業員がもつ経験は、従業員間のコミュニケーションを高めるポンプ場連絡会の設置につながるなど、これまでになかった職場環境づくりへとつながっています。

業務面においても高齢従業員は下水処理場の管理、技術顧問から営業に移った高齢従業員など、長く働いている高齢従業員は取引先にも顔が利くため会社として貴重な存在になっています。

Q.ジモトガイドの作成。

次世代の担い手育成のため、職業体験ゲームアプリ企業のコンテンツの一つである、ジモトガイドの作成に関わっています。地元高知の自然や観光の情報のほか、上下水道の仕組みを子ども向けにわかりやすい冊子や動画での配信を行っていて、これらをみて水処理施設に興味を持ってもらえるとうれしいです。

〈ジモトガイド 提供:紀和工業株式会社〉

人事管理制度の概要

■採用と職種構成

職種は管工事、機械器具設置工事、土木工事などの施工に関わるものとして、機械据付工、機械設備工、配管工、電工といったものがある。そのほか、下水処理所、雨水ポンプ場の管理を行っている。

若手の採用は高等技術学校から毎年行っている。高齢従業員の採用は高知県UIターンサポートセンターや知人からの紹介によるものが中心である。中途採用者は高齢従業員も含め、正規職員として雇用している。

正規職員として雇用されることで、雇用保険および労働者災害補償保険の適用を受けることができ、安心して働けるということを考えたためである。

■賃金制度

月給制で月20日間の業務保証を行い、安定した給与支払いを行っている。定期昇給はないが、資格を取得したものには資格手当を支給しており、この手当は定年後も継続している。定年前の賞与は年2回。定年後は現場の管理を担った高齢従業員に対してのみ支給を行っている。

■人材育成

他業種からの中途採用も多いため、業務に必要な資格について資格取得制度を設け、資格取得のための費用は年齢にかかわりなく全額助成するなど、積極的に支援を行っている。前職は営業や管理の仕事をされていた高齢従業員のSさんはこの制度を活用し半年ほどの勉強の後、68歳でポンプ施設管理技術者2級を取得している。

高齢従業員戦力化のための工夫

■ポンプ場連絡会の設置

現場と会社、または現場の高齢従業員同士のコミュニケーションの円滑化を図るため「ポンプ場連絡会」を毎月1回開催している。参加者はポンプ場勤務の高齢従業員全員と管理職である。職場の風通しがよくなり、現場の要望を吸い上げる場として機能している。また、ポンプ場管理においては高齢従業員間での調整が必要なことも多く、そのための相互理解にも寄与している。

〈ポンプ場連絡会の開催の様子〉

■クレーン車の導入

ポンプ場以外の従業員に対しても、今後、高齢になっても活躍できる環境を模索中である。専門的な技術を習得することにより、体力は落ちても現場で活躍が可能であると考え、13tラフテレーンクレーン車を購入した。これにより、これまで外注していた業務を内製化へと移行が可能となり、新たな仕事の獲得と従業員の高齢化を見据えた新たな技術力の獲得を期待している。

〈13tラフテレーンクレーン〉

■柔軟な勤務時間

勤務時間に関しては、加齢に伴う身体的機能の低下、家族の介護や本人の病気治療などによるフルタイム勤務が難しい場合も想定されるため、本人の就労ニーズに合わせて、短日数勤務や短時間勤務といった勤務制度も選択可能となっている。

高齢従業員とその家族とのつながりを大切にするため、有給休暇の取得には柔軟に対応している。今後、孫への対応のための「孫休暇」導入を検討している。

■健康管理

健康診断は、基本項目に加え、一定の限度はあるが追加項目も会社負担で実施している。今後、認知症に対するプログラムも取り入れることを検討している。

ポンプ場の担当は定期的な通院や急病などが生じても業務に支障がないよう、基本的に2名体制としている。

■作業負担の軽減

ポンプ管理場の排水設備にたまった材木などのゴミは、ベルトコンベヤーにより撤去されるため、基本的には体力的な負担は生じない。

また現場からの要請で夏場の熱中症対策として空調服の支給も行っている。さらに、災害時の対策として水などの緊急資材の設置も行っている。

■情報共有

ポンプ場管理場にWi-Fi環境を当社負担で整備し、インターネットを介した情報共有を快適に行えるようにした。これにより、現場でノートPCを用いて報告書を作成したり、トラブルが生じた際に写真をメールで送るといった、迅速かつ安定した業務報告や緊急連絡が可能となった。

制度改定の効果と今後の課題

ポンプ場は、都市や地域のインフラの中核を担う重要な施設であり、その役割は、生活・産業・環境の各分野に広く関わっている。このため、ポンプ場の管理は信頼のおける人材の配置が求められるが、同社の高齢従業員はいずれも責任感が強く、信頼がおける人材として活躍している。

高知県内には多くのポンプ場があり、ポンプ場における業務は高齢従業員に適した業務であることから、今後も高齢従業員の雇用を進め、ポンプ場管理を現在の4機場から拡大していくことを考えている。同社では高齢従業員はみな元気で責任感もあるが、急な体調不良が懸念されるため、今後も体調・仕事量を考えながら慎重に採用を考えていきたいとしている。

一方、現状高齢従業員は若手への教育に関しての経験が少ないことが課題である。ただ、水処理施設で継続して働いてきた60代の従業員は、何かと言いながら若手の面倒を見てくれる。この点において、会社からの要求も高い50代の従業員は任務遂行型にならざるを得ず、若手への教育に手が回っていない状況である。こうした点を含めて会社側でフォローしていかないといけないと考えている。

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