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ケイセイマサキ建設株式会社

-生涯現役の雇用制度を明文化-

  • 70歳以上まで働ける企業
  • 人事管理制度の改善
  • 戦力化の工夫
  • 能力開発制度の改善
  • コンテスト入賞企業

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ケイセイマサキ建設株式会社のロゴマーク

企業プロフィール

  • 創業
    昭和63年(1988年)
  • 本社所在地
    北海道新冠郡
  • 業種
    土木一式工事
  • 事業所数

導入ポイント

  • 若手採用難による人材不足の解消
  • 制度の改定または維持における課題の対応:特になし。継続雇用終了後も引き続き運用にて働いている実情に合わせて就業規則を整備
  • 生涯現役で活躍できる雇用制度が明文化されたことで、高齢社員は働き続けることで経済的 に安定でき、若手・中堅社員も長く働けることで相互の不安が軽減。経営側も人材が安定的 に確保でき、受注できる工事件数が増加
  • 従業員の状況
    従業員数 62人  / 平均年齢 52.8歳 / 60 歳以上の割合 60~64歳  25.8% 65歳以上 14.5%
  • 定年制度
    定年年齢 65歳 / 役職定年 なし
  • 70歳以上継続雇用制
    制度の有無 有 / 内容 希望者全員を年齢の上限なく継続雇用
2026年02月01日 現在

同社における関連情報

■企業プロフィール

1988(昭和63)年に北海道新冠郡に(有)マサキ建設として創業し、インフラ整備を通し地域社会の発展と産業振興に尽力。また、「建設業を通じて地域に夢を与える」という理念のもと、災害から国民生活を守り、老朽化するインフラの再生を勧め、国土強靭化集団としてICT、8S運動に真摯取り組んでいる。

■専門家の視点・取組みのポイント

65歳の継続雇用終了後も運用による上限年齢なしの雇用制度を実施している企業が見られますが、運用ではなく就業規則を整備して社員の不安を軽減し(又は「社員に安心感を与えながら」)、生涯現役で活躍できる環境を整備している点が同社の取組のポイントです。

雇用制度改定の背景

Q.きっかけは何でしたか。

現在の雇用制度は2013(平成25)年に見直しました。見直しの内容は正社員の定年年齢を60歳から65歳に引き上げ、運用による65歳以降の希望者全員の継続雇用制度を規程化したことです(図表1)。この雇用制度の見直しは会長(当時社長)が判断し、私は副社長としてサポートをしていました。現在もそうですが、若手の採用難による人手不足が大きな理由です。また、会長自身の自己経験によるものも大きかったと思います。会長(当時)は60歳ぐらいで、今もそうですが健康で元気でした。65歳以降も高齢社員に働く意思があれば、当社に残って働いていました。ただ、就業規則はなく運用で行っていたので、その実情に合わせて制度改定をしたということかと思います。

Q.改定で苦労した点は何でしたか。

特にありませんでした。例えば、現場で働いていたオペレーターは60歳で突然能力が落ちるわけではありませんし、そのまま働いてもらった方が、新たな人を雇って一人前に育てるよりは当社としても助かります。自然な流れで制度改定を行ったので、重要な意思決定をしたという感じではありません。継続雇用制度についても、65歳以降も引き続き働いてもらっていましたので、その実情に合わせて就業規則を整備しました。

Q.制度改定後、もたらした効果はありましたか。

ありました。高齢社員からは元気なうちは働くことができ、経済的に安定できるという意見が、若手・中堅社員からも長く働けることができ、老後の不安が軽減できるとの意見がそれぞれありました。当社にとっても制度改定以降、人材が安定的に確保でき、受注できる工事件数が増え、売上は右肩上がりとなっています。

人事管理制度の概要

■定年延長に伴う人事管理制度の対応

定年年齢の引き上げに伴う人事管理制度の対応について、同社は賃金制度や人事評価制度の見直しを原則として行っていない。正社員となる60代前半層の人事管理制度は60歳以前の制度が適用されている(図表2)。

退職金について、同社は継続雇用後も掛金の積み立てを行い、継続雇用終了時に支給する体制をとっており、今回の制度改定に伴う変更を行っていない。

■継続雇用者の人事管理制度

継続雇用者の雇用形態は正社員から1年契約の契約社員に変わるが、賃金制度、人事評価制度は原則として正社員の人事管理制度が引き続き適用される。勤務形態は原則としてフルタイム勤務としている。業務は定年前の職域を引き続き担当し、役職者もそのまま役職を継続している。なお、本人の申出があれば、勤務形態の見直し、担当業務の変更、役職を外す等の対応がとられている。

■運用による在宅勤務の実施

同社には在宅勤務に関する就業規則、制度等は設けられていないが、運用による在宅勤務を実施している。高齢社員が妻の介護のために退職を願い出たことがきっかけである。願い出た高齢社員は建築設計業務を担当しており、同社の事業活動に不可欠な存在である。そこで、介護をしながら仕事を継続できるように勤務体系を在宅勤務に切り替えるとともに、在宅勤務に必要なパソコン等のデジタル機器やネットワークの環境整備を支援した。

在宅勤務に切り替えたことで高齢社員は介護をしながら仕事を継続することができるとともに、通勤や現場への移動の負担が減り、介護の時間が確保できたり、あるいは自分の時間が確保できるようになった。現在、在宅勤務をしている社員は今回の高齢社員1名であるが、他の社員に安心感を与えている。同社は社員の申し出があれば可能な限り在宅勤務に切り替える対応を考えている。

高齢従業員戦力化のための工夫

■高齢社員の役割の明確化と現場への配置・配属の配慮

同社は高齢社員に対して継続雇用に切り替わっても、定年前の役割や職域を引き続き担ってもらうことを明確にしており、先に述べたように役職者は役職をそのまま続けている。他方で加齢による視力・筋力等の身体機能の低下に伴う労働災害対策がとられている。例えば、現場への移動時間(通勤時間)の安全面を考慮して、長時間運転にならないよう、できるだけ近隣の現場を担当させる配慮や、仮設階段昇降等の身体的負担を軽減させるため、高低差の少ない平地の現場に配置するなど配慮している。

こうした対策により、高齢社員から作業中のケガや事故などの不安・心配や作業負担も軽減され、安全・安心して働くことができるとの意見が寄せられている。

■ペア就労による技術・技能継承の取組

同社の現場代理人の仕事の範囲は、大手建設会社に比べて幅広い。工程管理、安全管理をはじめ、図面作成、施工図作成、積算、発注業務、原価管理なども現場代理人が担っている。そのため、通常の現場代理人に比べてやりがいがある一方、仕事を覚えるには幅広い知識や経験が必要となり、知識・経験が少ない若手技術者にとっては大変である。同社は若手技術者と高齢社員がなるべく同じ現場を担当するように配置して、高齢社員が若手技術者に技術・技能・ノウハウを継承させるようにしている。

後進育成の役割を担うようになった高齢社員にとって、モチベーションが向上するとともに、若手技術者が技術・技能・ノウハウを習得し、担当できる仕事が増えることにより、高齢社員の負担軽減にもつながっている。また、若手技術者からも高齢社員から現場のノウハウを丁寧に教えてもらえること、わからないことを質問するとわかりやすく教えてもらえることとの意見が寄せられている。

■年齢を問わずスキルアップする組織風土の形成

前社長(現会長)時代にCADを導入した際に建築部門の設計士にCADの操作スキルを習得させたが、当時65歳の高齢社員が独学でCADの操作スキルを学んでいることを知り、取引のある設計事務所にお願いして習得を支援した。その高齢社員は現在も同社で活躍している。また、同社はDX化を進め、現場作業はデジタル機器を利用して行われている。高齢社員も正社員と同じようにデジタル機器の操作方法を積極的に学んで業務に従事している。その姿が若手社員の良い見本となっている。

■DX化の推進

建設業界ではDX化が進むなか、同社も4年前からDX推進室を設置して若手技術者を中心に取り組んでいる。例えば、現場ではGPSを使った測量をはじめ、図面の3D化、データのクラウド化、またデジタルデータを重機に転送した操作の半自動化などである。先に紹介したようにDX化の推進により現場作業ではデジタル機器を使うようになり、操作方法に不慣れな高齢社員にその操作方法等を若手技術者が教えている。

こうしたDX化に合わせて働き方改革にも35事例8 ケイセイマサキ建設株式会社同社は取り組み、本社に建設ディレクターを配置して遠隔による現場支援を行い、現場代理人の負担を軽減し、作業の効率化、時間外労働、休日作業の削減に取り組んでいる。

この他にも技術・技能継承にDXを取り入れ、高齢社員の技術・技能・ノウハウを動画撮影して、社内のYouTubeで若手技術者が視聴できるようにしている。

健康管理・安全衛生・福利厚生

■健康管理と安全対策

健康管理では、健康診断結果が良好でない社員がいたら、再検査を促している。安全対策では、近年多くの企業が取り組んでいる夏場の熱中症対策について、同社も全社員に空調ファン付き作業服を支給するなど積極的に取り組んでいる。

今後の課題

技術・技能・ノウハウを持った高齢社員が働く意思がある限り、安心して働き続ける環境づくりを引き続き取り組むことを同社は考えている。2021(令和3)年の高齢法改正は70歳までの就業機会の確保は努力義務であるが、いずれ義務化されると同社は考え、70歳までの定年延長を検討している。

図表 1.雇用制度改定の概要
(出所)ケイセイマサキ建設株式会社へのヒアリングをもとに筆者作成

図表2.定年制度改定の概要

  改定前 改定後
定年年齢 60歳 65歳
基本給 ・初任給に昇給を積み上げる方式 ・変更なし
昇給 ・年1回実施 ・変更なし
賞与
・年2回支給
・「基本給×月数×人事考課」により算出
・変更なし
人事評価
・能力評価、業績評価
・手続き:代表取締役による評価
・変更なし
労働時間 ・フルタイム勤務 ・変更なし
退職金 ・定年時に支給 ・変更なし
 

(出所)ケイセイマサキ建設株式会社へのヒアリングをもとに筆者作成

出所:70歳雇用推進事例集2026

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