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社会福祉法人青谷学園

-『生涯現役』を旗印に、全世代の職員が未来像を描ける職場へ-

  • 70歳以上まで働ける企業
  • 人事管理制度の改善
  • 賃金評価制度の改善
  • 戦力化の工夫
  • コンテスト入賞企業

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社会福祉法人青谷学園のロゴマーク

企業プロフィール

  • 創業
    1982(昭和57)年
  • 本社所在地
    京都府城陽市
  • 業種
    障害福祉サービス等事業
  • 事業所数

導入ポイント

  • 人材不足が深刻な福祉業界において、当法人は職員を「かけがえのない人財」と捉え、DEI 推進宣言に基づき、「年齢に関わらず誰もが働きがいを持ち、その経験と能力を活かせる職 場環境を創造する」ことを目的に制度改定を行った
  • 収入額が利用定員により概ね定まっており、費用分配に苦心した。移行期には、生涯賃金に 不利益が生じないよう本人と話し合い、新旧制度を選択できるようにした
  • 有期雇用職員の雇い止め年齢撤廃による職員の高年齢化に伴う、安全確保や作業負荷の低減 といった健康や職場環境課題への対応を強化した
  • 選択定年制の導入や雇い止め年齢の撤廃により、職員の雇用の不安が解消され、長期的な視 点で安心して働ける環境が整備された
  • 役職定年制度の活用で高齢職員は重責から解放され余裕をもって働けるようになり、非正規職員 へのエキスパート職設置と相まって、意欲の高い高齢職員のモチベーションが高く維持されている
  • 従業員の状況
    従業員数 102人 / 平均年齢 44.3歳 / 60 歳以上の割合 60~64歳 6.9% 65歳以上 13.7%
  • 定年制度
    定年年齢 65歳
  • 70歳以上継続雇用制
    制度の有無 有 / 内容 60~65歳の選択定年制 希望者全員72歳まで継続雇用。72歳以降は、一定条件のもと年齢上限なく継続雇用
2026年02月01日 現在

同社における関連情報

企業プロフィール

1982(昭和57)年、京都府城陽市にて設立。経営理念として「地域社会への貢献と、ご利用者様に「生きがい」「満足」「感動」のある福祉サービスを提供します。」を掲げ事業を展開している。

■専門家の視点・取組みのポイント

理事長をはじめとした経営・管理者層が主導し、若手から高齢に至る全職員が働きがいを感じられる職場環境の実現を目指し、多岐にわたる改革を推進されています。デジタル機器を積極的に利活用するDX推進や、アンケート等で職員の意見を細やかに収集し、迅速かつ柔軟に対応し具現化することで、組織への愛着とエンゲージメントを高めていると言えます。

雇用制度改定の背景

Q.制度改定のきっかけは何でしたか。

福祉の仕事は「人と人とのつながり」が特に重要で、職員の定着が不可欠ですが、福祉業界の深刻な人材不足の中、新規採用が難しくなっているのが現状です。

そこで、「生涯現役!知識経験を活かしアグレッシブシニアを目指そう!」をスローガンとして、元気と意欲のある高齢職員を積極登用する方向性を掲げ、これを実現するために、順次、制度や規程の改定を行いました。

Q.制度改定の進め方について教えてください。

当法人の収入は国からの障害福祉サービス費が中心であり、利用定員などによって財源が概ね限定されているという制約があります。この財源構造を維持しつつ、職員が長く活躍できる雇用制度を実現するため、役職定年制度を導入することで人件費を抑制し、その上で60歳から65歳までの選択定年制を導入しました。

(1)役職定年の導入目的と柔軟な選択肢
役職定年制度は、職員の多様なキャリア志向と負担軽減のために導入しました。

「役職者の負担軽減」
役職業務の重責や、加齢に伴う体調変化・業務負担の増加により、役職を続けることに困難を感じる職員のニーズに対応するため、重責から解放される選択肢を提供しました。

「選択制の導入」
60歳まで役職継続を希望する職員もいるため、役職定年の時期に一定の年齢幅を持たせ、職員本人がキャリアプランに応じて選択できる制度として設計しました。

(2)既得権の保護と円滑な移行
制度改定に際しては、職員の既得権保護と不安解消を最優先としました。

「経過措置と個別対応」
退職金総額の変動リスクを考慮し、生涯賃金に不利益が生じないよう、5年間は旧制度を維持する経過措置を設けました。さらに、定年を迎える職員全員に個別の生涯賃金シミュレーションを提示し、本人に最も有利な制度を選択してもらう手続きを踏み、円滑な移行を実現しました。

Q.制度を改定して、高齢職員の働き方は変わりましたか。

役職定年制度の導入後、今回初めて、役職を退き一般職として定年の65歳まで働きたいと、この制度を活用された方がいます。

役職に伴う重責から解放され、とても晴れやかな顔でベテランらしく余裕をもって働かれています。この変化により周囲からの評判も上がり、本制度がもたらすポジティブな効果が早速現れました。

また、有期雇用職員の雇い止め年齢を撤廃したことや、非正規職員にも役職(エキスパート職)を設置したことにより、意欲のある高齢職員に明確なキャリアアップの機会が生まれました。これにより、より一層、仕事へのモチベーションが高く維持できるようになっています。組織全体としても、ベテラン職員の知識や経験が途切れることなく活用される好循環が生まれています。

人事管理制度の概要

正規職員の定年は2023(令和5)年に60~ 65歳の選択制へ変更し、希望者全員を72歳まで再雇用している。非正規職員は有期雇用で雇い止め年齢を撤廃(無期雇用は72歳定年)。72歳以降も本人の希望と法人の必要性により、雇い止め年齢なしの有期雇用契約が可能で、職員の最高齢は75歳である。

■賃金制度

職員の職種は、支援職、医務職、給食職、事務職で、支援職と給食職に高齢職員の割合が高い。

正規職員は月給制で、基本給と各種手当(役職、技能・資格、介護業務、夜勤(業務・頻回)、子育て、住宅、通勤)からなる。昇給は年1回で、60歳で停止となる。

定年後再雇用職員は時給制(他の非正規職員と同構成)で、正規職員時代の役職や考課に基づき基本給が決定される。手当は正規職員とほぼ同様だが、住宅手当は除外される。再雇用後も70歳まで役職(エキスパート職)への昇進が可能であり、時給アップという明確なキャリアアップを目指すことができる。

■評価制度

正規職員・非正規職員ともに年2回、能力評価、基礎力評価、業績評価からなる人事考課があり、昇給・昇進・賞与に反映される。

非正規職員への考課は2022(令和4)年11月に開始し、2024(令和6)年6月に役職(エキスパート職)を導入、考課結果を昇給・昇進に反映。同年11月に役職定年を70歳に延長。定年再雇用職員だけでなく新規採用も対象で、2025(令和7)年4月には6名(17%)がエキスパート職に昇進した。

高齢従業員戦力化のための工夫

■資格取得・研修参加への支援

「成長をデザインするキャリアパスと人財育成」として、職員の成長を支える4つの仕組み(キャリアパス、階層別役割、人事考課、人財育成計画)を提示し、資格取得・研修参加を支援している。介護福祉士などの資格は、受験費用・合格祝い金と毎月の資格手当の支給対象となる。また職員のマネーリテラシー向上を目指し、ファイナンシャルプランニング技能士も全職員対象。全職員トークグループでの受験宣言がモチベーションアップと合格率の向上につながっている。高齢職員の介護福祉士や調理師資格の合格などもあり、リスキリングの環境が醸成されている。

■職場改善のアンケート

高齢職員の豊富な経験と知識を財産として捉え、ミドル・シニア世代が安全で働きやすい職場環境の整備や加齢に伴う労働災害のリスク軽減を目指し、アンケート等を通じて職員の意見を定期的に収集。制服自由化、エレベータ使用許可、サーキュレーター導入、マットレスリフター購入などの改善を、迅速かつ柔軟に対応し具現化することで、組織への愛着とエンゲージメントを高めている。

健康管理・安全衛生・福利厚生

■健康キャンペーン

2025(令和7)年度は、「みんなで考えよう!行動しよう! 健康ファミリー青谷学園」をキャッチコピーに、「食習慣・飲酒習慣の改善+運動の推進」健康対策を実施した。全職員のトークグループで互いに励ましあい、投稿を集め減塩レシピブックを作成するなど、楽しく健康課題に取り組んだ。また毎日2回の「本気のラジオ体操」は、上席者または自己採点で点数をつけ、人事考課の対象にもしており、腰痛や肩こりへの効果も報告されている。さらに、スタンディングデスクの導入や、がん対策推進企業アクションの書籍の館内放送による朗読など、多様な健康増進策を実施している。

■腰痛対策

職業病とされる腰痛対策として、「ノーリフティング宣言」に基づき、福祉機器の導入と腰痛予防対策チームを結成し対策を強化している。腰痛予防研修や予防体操、腰痛ベルトの配付(支援職と60歳以上全職員)などが功を奏し、2016(平成28)年以降、腰痛労災ゼロを継続している。

■コミュニケーション

職場におけるコミュニケーション活性化のため、多様な取り組みを実施している。

(1) 非正規職員自身が主催するミドル・シニア交流会を実施。ランチを共にし、部門を超え た連 携強 化と 相互 理解 を図っている。

(2) 女性職員の活躍推進と健康支援を目的とし、女性限定のランチミーティングを継続的に実施。少人数のグループで健康情報や更年期などのセンシティブなテーマについても率直な意見交換を行う場を提供しており、参加者から高い評価を得ている。(ランチ法人負担)

〈ミドル・シニア交流会〉

■ICT、DX化の取り組み

DX戦略に基づき、法人全体で「デジタルディバイド」の解消に向け取り組んでいる。非正規を含む全職員にスマートフォンを貸与し、有給休暇の申請や年末調整の申告、会議などの情報共有も全てスマホで行う。高齢職員の中には、操作に不慣れな方もいたが、職員間で教えあったりして徐々に慣れ、今では家族ともSNSでつながることができたなど、ポジティブな効果がプライベートにまで波及している。

■週休3日制

働き方改革の一環として、全職員1日10時間、週40時間勤務の週休3日制を導入。休日増加でワークライフバランスが整い、子育て世代にも大変好評である。また1日10時間としたことで夜勤が1勤務分のみとなり、以前の8時間× 2勤務分の夜勤と比較し、断然、今の方が楽になったと好評である。

一方育児短時間や病気治療中や介護を担う職員は、週4日から5日を本人の希望により6時間から8時間の間で多様な選択ができる制度もある。

■多様な副業

残業がなく年間の約半分が休日のため、副業も推進している。副業経験の本業への活用、子育て世代の収入増、地域との関係深化などを期待している。コンビニエンスストアで副業する職員の紹介で、月に2回移動販売車が来るようになり、加齢により移動が困難になってきた利用者にも大変好評である。

今後の課題

職場環境の改善と制度改定により、離職率は一桁台に低下し、京都府福祉職場「組織活性化プログラム」の職員アンケートも全ての項目で府平均を大幅に上回る良い結果となっている。また非正規職員の無期転換希望も全員に及ぶなど、働きやすい職場への取り組みは定着した。一方で、人材不足により新卒採用の困難、雇い止め年齢撤廃による職員の高年齢化は避けて通れない問題である。この人員構成の変化は、加齢に伴う労働災害発生リスクを著しく高める要因となる。

このリスクに対応するため、「エイジフレンドリーガイドライン」を指針とし、高齢職員の安全と健康の確保を目的とし、労働災害の防止と健康保持増進に従来以上に注力する。具体的には、年齢にかかわらず全ての職員が安全に働ける職場環境の整備と、作業負荷の低減に向けた具体的な改善策を計画的に実行していく。

出所:70歳雇用推進事例集2026

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