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宮田アルマイト工業株式会社

-作業環境の改善により長く活躍できる環境を整備-

  • 70歳以上まで働ける企業
  • 人事管理制度の改善
  • 賃金評価制度の改善
  • 戦力化の工夫
  • コンテスト入賞企業

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宮田アルマイト工業株式会社のロゴマーク

企業プロフィール

  • 創業
    1967(昭和42)年
  • 本社所在地
    長野県上伊那郡宮田村
  • 業種
    アルマイト表面処理
  • 事業所数

導入ポイント

  • 同社の成長に貢献してきた社員に引き続き活躍してもらうため
  • 定年年齢と継続雇用年齢の引き上げを一気に引き上げるのではなく、段階的に引き上げる対 応をとることで、より良い内容の制度を整備
  • 事業に必要な労働力の確保と維持が可能に。また、高齢社員が活躍する姿は若手社員のいい 刺激に
  • 従業員の状況
    従業員数 124人 / 平均年齢 41.5歳 / 60 歳以上の割合 60~64歳 4.8%  65歳以上 4%
  • 定年制度
    定年年齢 65歳 / 役職定年 なし
  • 70歳以上継続雇用制
    制度の有無 有 / 内容 一定条件のもと70歳まで継続雇用。70歳以降は運用により一定条件のもと、年齢上限なく継続雇用。
2026年02月01日 現在

同社における関連情報

■企業プロフィール

1967(昭和42)年長野県上伊那郡に創業。アルミニウムの表面加工処理などの事業を展開。未来の技術に挑戦し、品質保証を経営理念とし市場のニーズに対応するアルミニウム表面処理を行っている。

宮田アルマイト工業株式会社 第2工場

■専門家の視点・取組みのポイント

ベテラン社員の技術・ノウハウを言語数値化して組織知にする一方、業務の自動化、作業の標準化など作業環境の改善を全社的に実施して、高齢社員をはじめとする社員にとって働きやすく長く活躍できる職場づくりを図っていることが同社の取組のポイントです。

雇用制度改定の背景

Q.制度改定のきっかけは何でしたか。

私が社長に就任した時、2006(平成18)年は、離職する社員がとても多くいました。社長としての私の最初の仕事は「社員をどうすれば辞めさせずにすむかを考えること」でした。そこで、社員の立場に立って、「労働に見合った賃金水準」「負担の少ない労働」「良好な人間関係」の3点を意識して実践しました。その結果、離職率は下がり、当時の社員のほとんどが現在も当社で活躍しています。

この時期、新たな取引先との受注を開始したことで、業績が大きく伸びました。当社の成長に貢献した社員に今後も長く活躍してもらいたいと考え、定年年齢と継続雇用年齢の引き上げを一気に引き上げるのではなく、段階的に行いました。2019(令和元)年に就業規則を改定し、定年年齢を60歳から62歳、継続雇用年齢を65歳から67歳に2歳引き上げる対応をとることで、より良い制度改定の内容を検討しました。

そのうえで2022(令和4)年に定年年齢を62歳から65歳に、継続雇用年齢を67歳から70歳にそれぞれ3歳引き上げました。また、70歳以降も一定の条件ですが、運用により年齢の上限なく働き続けられる仕組みを導入しました。

Q.改定で苦労した点は何でしたか。

改定と並行して進めていた作業環境整備への設備投資でした。順調に拡大している事業の将来への先行投資として対応しました。

Q.改定にあたって社員からの反応は。

特にありませんでしたが、50代後半の社からは55歳で停止する昇給の上限を引き上げてもらいたいとの意見がありました。

Q.制度改定後、どのような効果がありましたか。

ありました。社員が長く活躍できる環境が整備されたことで、事業に必要な労働力を確保・維持することができました。また、高齢社員が活躍する姿は若手社員にとっていい刺激となっています。

人事管理制度の概要

■継続雇用者への昇給と賞与支給の実施

定年後、継続雇用に切り替わると、賃金は日給月給制から時間給に変わり、その水準も見直されるが、近隣企業に比べても高い水準にある。そのため、高齢者雇用の問題の1つである賃金減額によるモチベーション低下は同社ではみられない。また、継続雇用者の規定では、昇給は行わず賞与も支給しないことを原則としているが、実際には昇給の実施、賞与の支給を行い、高齢社員の待遇改善に取り組んでいる。

■継続雇用者への人事評価

継続雇用者にも正社員と同じ人事評価を実施している。人事評価の項目は大きく「職務能力・技術力」「勤務姿勢」「貢献度」の3領域からなり、各領域には5~ 10項目の評価項目が設けられている。評価手順は「本人自身による自己評価」「部門長との面談評価」「社長との面談評価」の順で行われ、自己評価と部門長評価が食い違う場合には社長との面談評価で本人に会社側の意向を伝える対応がとられている。こうした手順により社員の意識変容をうながしている。高齢社員にとっては自身の役割を再認識できるとともに、仕事への充実感を高めることにつながると同社は考えている。

■フレックスタイム制の導入

全社員を対象にフレックスタイム制が導入されている。ただし、生産職場はシフト勤務であり、一般的なフレックスタイム制を適用することは難しいので、事前に希望を申請してシフト勤務の時間帯を調整する対応がとられている。生産現場のフレックスタイム制の導入について、清水社長は「ラインのシフトを組むにあたっては、できるだけ本人たちの希望を聞きシフトを組んでいるため、現場の管理職は大変ですが、なんとか頑張ってくれています。」と話している。

高齢従業員戦力化のための工夫

■高齢社員の役割の明確化

高齢社員の役割は定年前の役割を引き続き担ってもらうことを明確にしている。生産職場の仕事は体力的負担が小さい。これは後ほど取り上げる作業環境の改善によるものである。処理対象の部品を治具で固定するラッキング作業では、扱う部品が多岐にわたることに加えて機械化が難しいため、技術や経験等が必要な作業である。長年の経験と豊富な知識等を持つ高齢社員は同社にとって不可欠な存在である。同社は高齢社員に対して身につけた知識や技能の活用や伝承、ベテランらしい温和な雰囲気が組織内に好影響を及ぼすことを期待している。

このほかにも、同社が雇用する障害者の相談役を高齢社員が担当し、職場での高齢社員によるフォローが障害者の定着につながっている。

■感覚的ノウハウの言語数値化と技能継承

ダイカスト製品のアルマイト処理は皮膜生成が難しいが、高い技術力を持つ同社は高度な表面処理を可能にしている。以前は各部品に必要な皮膜生成の技術・ノウハウはベテラン社員の暗黙知に依存していたため、社員の定年等によりそれらが失われていた。同社は暗黙知を組織知にするため、品質保証部門が3年間かけてベテラン社員の技術・ノウハウで言語数値化して後進に継承していく仕組みを整備した。

〈アルマイト処理設備〉

■作業環境の改善

同社が取り組む作業環境の代表的な改善は、業務の自動化の推進と作業の標準化である。業務の自動化の推進は、生産職場で働く社員の体力的負担をできるだけ生じさせないことを目的としている。アルマイト処理の設備を設置して自動化を進める一方、人手に頼らざるを得ないラッキング業務を高齢社員でも作業しやすいよう治具を工夫している。例えば、一般的には部品を2か所に引っかける治具が多いが、1か所で完結するよう改良し、高齢社員の作業円滑化に加えて、障害者の作業従事も容易になった。このオリジナル治具の製作はこれまで100種類近くに及んでいる。

作業の標準化は、多くの社員で業務をシェアできることを目的とした取組みである。具体的には、2006(平成18)年に作標準化が可能なバーコードシステムを導入した。約1000社に及ぶ取引企業の多岐にわたる部品の膨大な処理仕様をバーコードシステムに読み込ませた。社員は仕様書に基づいてラッキングされた部品をセッティングするだけとなった。これによりトレーサビリティの確保やロス工数の削減につながった。

この他にも、建物内のすべての照明のLED化、アルマイト処理の薬品配合の機械化、業界でも先駆的な揮発した酸の吸引装置の導入などの作業環境の改善を進めた。将来的には薬品の投入の機械化を検討している。

■年齢を問わない資格取得支援

同社は社員に長く働いてもらうことを方針に掲げるとともに、年齢を問わずフォークリフト、有機溶剤作業主任者、特定化学物質作業主任者といった資格取得を進めている。受検費用を支援しているほか、資格取得すれば手当を支給している。

健康管理・安全衛生・福利厚生

■健康管理・安全衛生の拡充

同社は社員の高齢化を見据え、健康管理・安全衛生の拡充を総務部長のもとで取り組んでいる。健康管理では、これまで入院・死亡時のみに適用されている共済の内容に三大疾病(がん・心筋梗塞・脳卒中)特約を追加するとともに、定期健康診断を実施する医療機関、伊那労働基準協会、産業医などの関係機関と連携して、医師から診断コメントをもらい、本人に合わせた指導を実施している。

安全衛生では、安全衛生委員会だけではなく環境安全委員会でも月に1回パトロールを実施し、危険因子の排除に努めている。

■職場環境の改善

夏場の屋内作業対策として、扇風機、スポットクーラーの活用、空調ファン付き作業服の利用などにより、少しでも作業負担を軽減するようにしているほか、本社移転の際には照明のLED化を進めた。高齢社員にとって図面など細かい字を見るのに負担が大きい。LED化によってその負担を軽減した。

■福利厚生

コロナ禍で自粛していた社員旅行を復活させて、1泊2日の社員旅行を全額会社負担で実施した。その際、旅行先での訪問先を複数用意して、若手社員とベテラン社員双方が満足するよう工夫した。そのほかにも会社主催の懇親会を年4回(花見、スタミナ会、創立記念パーティ、忘年会)社員旅行と同様全額会社負担で実施し、社員間のコミュニケーションを高めている。

今後の課題

今後の課題として、同社は今回の改定で意見があった昇給の停止年齢の引き上げ(55歳から60歳に)、現在、継続雇用時に見直している高齢社員の賃金水準の引き上げを検討している。

図表.雇用制度改定の概要
(出所)宮田アルマイト工業株式会社へのヒアリングをもとに筆者作成

出所:70歳雇用推進事例集2026

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