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カナタスタイル合同会社

-利用者と思いを共有できるシニア従業員の働きやすさを充実-

  • 70歳以上まで働ける企業
  • 人事管理制度の改善
  • 賃金評価制度の改善
  • 戦力化の工夫
  • コンテスト入賞企業

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カナタスタイル合同会社のロゴマーク

企業プロフィール

  • 創業
    2018(平成30)年
  • 本社所在地
    富山県富山市
  • 業種
    介護サービス付き高齢者住宅・デイサービス・ フィットネスデイの運営
  • 事業所数

導入ポイント

  • 採用したシニアの貢献度が高く、その強みを長期的に発揮してもらう制度の構築を決断
  • 採用者の処遇については前職賃金準拠など一貫性がなかった賃金制度を体系化する必要性を 痛感
  • 役割や責任に応じて処遇することでシニア従業員の意欲を維持向上
  • シニア従業員の強みを若手中堅が理解して助け合う風土づくりを会社が実践
  • 体力が必要な業務はシニア従業員のかわりに若手やロボットが担当
  • 65歳でやめなくてはならないという意識がなくなり、いつまでも働ける安心感を醸成
  • 利用者と年齢が近いからこそできるシニア従業員の対応を若手中堅に伝承
  • 体力負担の重い仕事から解放されたシニア従業員の健康が維持され、労働災害も防止
  • 従業員の状況
    従業員数 40人 / 平均年齢 46歳 / 60 歳以上の割合 60~64歳 12.5% 65歳以上 20%
  • 定年制度
    定年年齢 70歳
  • 70歳以上継続雇用制
    制度の有無 有 / 内容 年齢上限なく継続雇用
2026年02月01日 現在

同社における関連情報

■企業プロフィール

2018(平成30)年10月カナタスタイル合同会社を設立。2020(令和2)年4月高齢者向け複合施設「シニアタウン龍宮」開業。事業方針として、社員一同「明るく・自分らしく・夢をもって」を掲げている。

■専門家の視点・取組みのポイント

利用者であるシニアの感覚や考え方、苦労をいちばん理解し共有できるのはやはりシニアでしょう。実感として捉えられるからです。この強みがあるシニアを労働力として重視、強みが失われないよう職場環境を整備、処遇も工夫し意欲の維持と向上が実現しています。

雇用制度改定の背景

Q.制度改定のきっかけは何でしたか。

富山市は車中心の郊外型の生活から快適で利便性の高い「まちなか居住」ヘの転換を推進しています。そこで当社は2020(令和2)年に地上10階建て高齢者向け複合施設「シニアタウン龍宮」を富山市中心部に開業しました。福祉の未経験者を含めて50 ~ 60代を中心に採用しました。当初は65歳定年でしたがシニア従業員の果たす役割が大きく不可欠な存在だったことから2021(令和3)年に定年を70歳に延長し、その後も働ける場合は年齢の上限なく再雇用することにしました。現在70歳以上は5名が勤務しています。

Q.シニア従業員の強みは何でしょうか。

シニア従業員は施設入居者と年齢が近く、話題や感覚が共有できます。利用者が小学校で昔習った詩吟、昔歌った「富山県民の歌」や歌謡曲、昔の流行を知っているので共通の話題から話が弾みます。利用者が立ち上がる際の補助のタイミング、いっしょに歩くスピードも熟知しています。また、夏でも寒く感じる方、骨の変形による神経痛や筋肉痛に悩んでいる方に対してシニア従業員はこのような感覚が理解できるので、入居者が求めることにすぐ対応できます。食事を拒否する方もいて、若い従業員は「食べてもらえませんでした」で終わってしまいがちですが、食べてもらえるコツをシニア従業員が若手に教えています。認知症が進んで対応が難しい方にもシニア従業員はゆったり構えて話を聞いてあげ、落ち着いてもらうことができます。

Q.定年延長の際の課題はありましたか。

定年延長を検討していた時、業務効率を向上させるにはシニア活用よりも若手人材中心の採用が必要との声もありました。そこで社員説明会を開催し、介護では入居者とのコミュニケーションが大事でありシニア従業員が最適任であること、業務上発生するさまざまな課題を世代間で補完しあう風土作りを目指したいと強調して理解を求めました。

Q.評価や処遇も工夫されたのでしょうか。

創業時は採用者の前職を参考に給与を決めていたため、頑張っているシニア従業員の賃金が低くなることもありました。高齢者だから賃金が低い、定年後は賃金を下げるではなく、仕事を基準とした処遇に変更しようと顧問をお願いしている社会保険労務士の方といっしょに考え、年齢ではなく担当する仕事の責任の重さで決定する役割等級制度に変更しました。

Q.従業員の皆さんの受け止め方は。

「65歳でやめなくてはならないという意識がなくなり、安定的に長期に働けるのが良い」との感想がありました。シニア従業員の皆さんは仕事ができる喜びを感じているようです。従業員の急な欠勤で発生するイレギュラーな勤務にも対応してくれます。

Q.今後の方針をお聞かせ下さい。

当社の経営理念は「明るく・自分らしく・夢をもって」です。シニア従業員がその時に思う働き方ができるように会社はサポートしていきます。そして当社がシニアにとって働きやすい職場であることをこれからもアピールしていきたいと思います。

人事管理制度の概要

■人材採用と活用の方針

「高齢者を積極的に採用し、働き方や適性に応じた配置と処遇で70代の現役就労を実現するとともに、高齢社員の活躍で世代間の相互補完関係を構築する」との方針で人事管理制度を構築している。他社の定年退職者も積極的に採用しており、70歳で入社、現在75歳の従業員も働いている。正社員以外は「パートナー社員」(契約社員、無期雇用社員、定年後嘱託社員)であるが、有期雇用後の無期雇用社員や正社員への転換制度があり、転換後、貢献度に応じた等級に引き上げて給与が大幅に上昇したシニア従業員も存在する。

■役割等級制度による評価・処遇

年齢ではなく、どのような仕事の責任を担うかで処遇が決まる役割等級制度が導入されており、正規・非正規従業員すべてが役割責任行動(顧客重視、業務遂行、チームワーク、関係構築・問題解決、成長の5項目)の達成レベルや達成度をもとに1等級から4等級のいずれかに格付けされて処遇が決定する。各等級で評価される内容は変わり、上位等級ほど要求水準は高い。基本給は各等級内が5ゾーンに分かれている。定年退職者は「職務・任用要件一覧表」により定年後嘱託社員として3等級までに格付けされるが、定年後も職務内容や責任の程度に変化がなければそれまでと変わらぬ等級で処遇される。

賞与、役割等級の昇格は人事評価で決定する。定年後の再雇用者も同様に評価される。半期ごとに等級別評価シートを用いてまず本人が自己評価、その後に施設長と個別に振り返り面談を行う。「できたことは何か」、「次のレベルにいくために大切なことは何か」、「今後やりたいこと、チャレンジしたいことは何か」を聞き、今期の評価と次期の目標設定がなされる。半期ごとの評価が各期の賞与に反映され、年間総合評価の5段階評価で基本給の号捧改定と昇格決定がなされる。再雇用者の賞与も評価に応じて決定する。

高齢従業員戦力化のための工夫

■ロボット導入で肉体的負担を軽減

利用者をベッドから椅子などへ移す作業は移乗サポートロボットを活用する。シニア従業員も操作方法を習得しており、「力を使うことが少なくなって楽になった」と評価しており、腰痛防止にも効果を発揮している。10階建ての建物はエレベーター2基を備え、従業員の歩く距離は短い。加えて台車を活用することで肉体的負担が軽減されている。

〈移乗サポートロボット〉

■IT機器の活用

利用者のさまざまな情報は用紙への記入や集計作業が煩雑であったが、タブレット音声入力へ変更、大幅に省力化された。シニア従業員にもタブレット操作を懇切丁寧に教えた結果、「慣れればタブレットの方が良い」と好評である。また、従業員はスマートホンを携帯、施設内の状況が適時把握でき、今、どこで何が起こっているかが分かる。シニアのなかにはスマホを拒絶する者もいたが、扱い方を若手に教えてもらい、また、会社から使用を根気強く促すことで活用度が高まった。

■チーム編成の工夫

シニアと若手を組み合わせたチーム編成としており、体力のいる入浴や移乗、排泄は若手や中堅が、食事介助や話し相手はシニアが担当している。また、シニア従業員が夜間勤務を担当する場合は若手とペアにして労働密度を低くしている。

■加齢にともなう事故の防止

加齢に伴う視力低下で小さな文字が読みにくくなり、注意力低下で単純な間違いを起こせば利用者が飲む薬の取り違えや飲ませ違いが起こりかねない。そこでチャック付きカレンダーを活用して投薬事故を防止している。

■短時間勤務制度の導入

70歳への定年引き上げ時に55歳以上職員を対象に短時間勤務制度を内規化した。働きやすい時間や日数に柔軟に対応しており、1日2時間、週1日、毎日昼2時間・夕3時間等の多様な勤務形態が提供されている。介護に対応する短時間勤務規定も整備されている。

■シニアにも資格取得を奨励、研修実施

経験の浅いシニアには初心者研修を実施、接遇研修はシニアも受講している。資格取得も奨励している。福祉業界未経験で入社したシニアが70歳を超えて介護福祉士に合格している。資格取得はゴールではなく、自分はまだ出来るという自信につながっている。

■コミュニケーションの促進

毎月、全体ミーティングを開催、若手中堅だけではなくシニア従業員にも「どんなことをなし遂げたいか」を発表させている。シニアの経験談を聞くことで若手はシニアの利用者や従業員への接し方に気づきが得られる。

「改善活動シート」を通した業務提案を促し、「どんな小さなことであっても自ら提案してほしい」と呼びかけたところ、シニア従業員からは「利用者が見やすいように座席表やラベル、ホワイトボード文字を大きくすべき」との提案があり、実際に改善されている。

■職務の見直しで不安を解消

肉体的負担の大きい床掃除や入浴介助から食事配膳への職務変更、仕事量の削減を適宜行っている。持病や身体能力低下に悩みながらも仕事を続けたいとの願いを持つシニア従業員には管理職がいっしょに仕事ぶりを振り返り、これまでの労をねぎらい、本人の不安解消に努めている。

健康管理

シニア従業員向けの生活習慣病予防検診制度を導入し、胃がん検診、肺がん検診、大腸がん検診は会社負担で実施している。

今後の課題

応募者が少なく採用に苦労した開業時、他社経験のあるシニア採用で乗り切ったことから、シニアに対する会社の信頼は厚い。シニアがより長く目標を持って働いてもらうための制度設計を今後も進めていく方針である。

(出所)カナタスタイル合同会社へのヒアリングをもとに筆者作成

出所:70歳雇用推進事例集2026

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