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株式会社阿波銀行

全社的な職務給制度の導入と定年延長

  • 70歳以上まで働ける企業
  • 戦力化の工夫
  • 能力開発制度の改善

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株式会社阿波銀行のロゴマーク

企業プロフィール

  • 創業
    1896年
  • 本社所在地
    徳島県徳島市
  • 業種
    金融業
  • 事業所数
    105(2024.3.31時点)

導入ポイント

  • 行員は、ポジションごとに職務等級を設定
  • 定年年齢を60歳から65歳に引き上げるとともに、キャリア研修を拡充
  • 従業員の状況
    従業員数 1,316名 / 平均年齢 42.8歳 / 60 歳以上の割合 6.8%
  • 定年制度
    定年年齢 65歳
  • 70歳以上継続雇用制
    制度の有無 有 / 内容 就業規則等により、一定の条件のもと雇用を継続。年齢の上限は定めていない。
2024年03月31日 現在

同社における関連情報

企業概要

株式会社阿波銀行は、1896年に設立された銀行であり、徳島県を地盤に普通銀行業務を展開している。世代を超えたパートナーシップ『永代取引』を実践し、取引先の企業価値向上とお客さまの金融資産形成をサポートするとともに、地域に根ざした金融機関として、持続可能な地域社会の実現への貢献にも取り組んでいる。

職員は1,934名(正社員1,316名、パート618名)、職員のうち、正社員の行員の年齢構成は60歳以上89名、平均年齢42.8歳である。行員は総合職、専門職、オフィス職の3コースに区分される。

制度見直しの内容

■職務給の導入

元々は年功序列型の雇用管理をしていたが、年齢ではなく能力を基準とした制度とするため2002年から年齢による昇給を廃止した。また、2010年には旧定年年齢のなごりから、一定の年齢(57歳)より自動的に引き下げていた給与を定年の60歳までは下がらないように制度を改定し、同時に給与の決定にあたり、働きに見合った納得感のある給与となるよう、職務に基づき給与を決定する考え方を取り入れ、経営職にポジションによる職務給を導入した。

2019年からは非経営職である一般行員・役付者に対しても職務給を導入した。また、60歳以降の再雇用制度が適用されるシニア嘱託についても、職務に対する期待や役割は定年前の他の行員と同一であるとの考え方に基づき、一般行員と同様に職務給を導入した。

■定年の延長

2021年4月に定年を60歳から65歳に引き上げた。ただし、引き上げから3年間は移行期間として60歳での定年退職も認めている。60歳での定年を選択した者は、引退して家族と過ごしたいという理由の行員が多く、全体の15%ほどで、残りの85%は65歳での定年を選択している。

銀行業界はいわゆる役職定年制度を用いる文化が残っているが、阿波銀行は従来から役職定年制度を設けておらず、定年年齢までは同じ制度上で勤務できる体制が整っている。

社外及びグループ会社への出向等については、行外での幅広い経験を積むために若手行員の段階で出るケースもあり、セカンドキャリアとして60歳以降での出向もある。また、転籍することもあれば、出向を経験して戻ってくるパターンもある。

■職務等級の設定

職務給の基となる職務等級を導入している。総合職は19等級、専門職は9等級、オフィス職は9等級であり、総合職のうち、経営職の10等級については、明確にポジションによる職務等級を設定しており、人事異動によるポジション変更によって給与が上下する。非経営職についても、経営職ほどの上がり下がりはないが、ポジションごとに期待や役割を提示して、その達成度合いに応じ給与を決定している。

2021年4月に定年を60歳から65歳へ引き上げたが、この定年延長実施後においても職務等級の考え方に変更はなく、60歳以降でも以前と同様のポジションに就くことを可能としている。

行員の年齢構成として、これから経営職のポジションに就く40歳代の行員が少ないといった事情もあり、若手行員の登用年次は早まってきている。一方で、60歳以降でも以前と同様に支店長などのライン職に就くことが可能であり、行員のモチベーションの維持・向上、ひいては組織の活性化に繋がっている。また、60歳を超えてから初めて支店長になった行員もいる。

制度見直しの工夫

定年延長によって、ミドル・シニアの行員へのキャリア形成支援が必要となることから、50歳からのキャリア研修を拡充している。50歳という節目で、これまでのキャリアの振り返りと今後のキャリアを考える機会とし、自己啓発やスキルの再習得を促進することで、職場での充実度や満足度を高めることを目的として取り組んでいる。

また、58歳時にもキャリア研修を行うようにしており、定年延長に伴う制度変更の理解などを促すとともに、改めてこれまでのキャリアの振り返りと今後のキャリアプランニングを再検討してもらうことで、仕事のモチベーションを保ち、次のライフステージへの歩み方も考え、充実した人生設計を描けるよう支援している。

職務給は導入しているものの、60歳から65歳への定年延長に伴って、人件費は増加している。しかしながら、これからさらに進むであろう人手不足に向けた投資と捉えており、加齢とともに極端に能力が減少することはないので、シニア行員には働けるうちは、できる限り長く活躍いただきたいと考えている。

制度見直しの効果等

ポジションごとの職務等級を設定することで、目指したいキャリアが明確になり若年層のモチベーション向上につながることを期待している。

また、定年年齢引き上げは改定前から60歳定年後の継続雇用者が多くいたことを考慮すれば、60歳以降の仕事と処遇のバランスを実現することができ、安心して働ける環境整備ができたことに加え、多様な働き方に対応する制度となった。

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