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株式会社ケーズホールディングス

-「現役の継続」のもとで年齢に関係なく活躍する職場づくりを推進-

  • 70歳以上まで働ける企業
  • 人事管理制度の改善
  • 賃金評価制度の改善
  • 戦力化の工夫

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株式会社ケーズホールディングスのロゴマーク

企業プロフィール

  • 創業
    1947(昭和22)年
  • 本社所在地
    茨城県水戸市
  • 業種
    家電製品小売業
  • 事業所数

導入ポイント

  • 採用難による人材確保の課題を労使で共有していた中で、労使双方の合意に基づいて取組を 開始
  • 定年延長に伴う人件費の増大に労使間でさまざまな意見があった。グループ全体を対象にし た制度改定のため、長い時間をかけて丁寧に交渉を進めた
  • 60歳以降の待遇改善により従業員のモチベーションが向上、採用における魅力ある待遇、 労働条件等の提示
  • 従業員の状況
    従業員数 4,423人 / 平均年齢 43.7歳 / 60 歳以上の割合 60~64歳 6.2% 65歳以上 1.5%
  • 定年制度
    定年年齢 65歳 / 役職定年 60歳
  • 70歳以上継続雇用制
    制度の有無 有 / 内容 基準該当者を70歳まで継続雇用
2026年02月01日 現在

同社における関連情報

■企業プロフィール

1947(昭和22)年ラジオ受信機を主体とする販売・修理業を開始。「人を中心とした事業構築を図りケーズデンキグループに関わる人の幸福を図る。事業を通じて人の「わ」(和、輪)を広げ、大きな社会貢献につなげる」を企業理念としている。

■専門家の視点・取組みのポイント

年齢に関係なく教育訓練機会を提供したり、活躍した高齢従業員を表彰したりするなど、「現役の継続」を軸に年齢に関係なく活躍できる職場づくりを推進していることが同社の取組のポイントです。

雇用制度改定の背景

Q.制度改定のきっかけは何でしたか。

労働組合から定年延長による従業員の待遇改善の意見があったことです。経営側としても、人材確保の課題を抱えていました。旧制度では、再雇用後に賃金水準を見直していたため、経験豊かで優秀な人材が残念ながら再雇用を希望せず、60歳で退職してしまうことも少なからずありました。制度改定により待遇を改善して経験が豊富なシニア人材の離職防止を図り、対外的にも65歳まで働ける、働きやすい会社であることを採用等でアピールができます。国の指針に従い、企業の社会的責任を果たすべく、労使双方の考えが一致しました。2023(令和5)年4月に就業規則を改正し、正社員の定年年齢を65歳に引き上げ、一定の基準を設けていますが、70歳までの再雇用制度を導入しました。

Q.どのように改定を進めていきましたか。

労働組合の申し入れにより、2018(平成30)年から改定交渉を開始しました。定年延長に伴う人件費の増大に労使で意見の相違があり交渉は難航しましたが、労働組合側も人材確保の課題に対して危機感を持っていたので、丁寧に交渉を進めました。また、改定案を準備している時に、オンラインで60代、50代後半の従業員に直接話を聞きました。

Q.改定で苦労した点は何でしたか。

グループ会社との調整です。今回の改定はグループ会社全体を対象としているので、グループ会社との協議に相当時間を費やしました。当社は設立して70年ほど経っていますが、グループ会社の中には設立して間もない、定年退職者がいない会社もあります。定年延長の必要性に対する各グループ会社の認識や考えに差があり、グループ全体の考え方や方向性を統一するために、丁寧に意見交換を繰り返しました。

Q.改定にあたって従業員からの反応は。

制度改正に対する否定的な意見はなく、おおむね良好に受け止められていると感じています。従業員には店長・配送センター長会議で幹部に説明、理解をしてもらった上で部下である従業員に説明するとともに、社内通達、そして社内イントラネットへの動画公開により、制度の内容を周知しました。また労働組合にも協力いただいて、労働組合の会合で組合員に制度を説明していただきました。

Q.制度改定後、もたらした効果はありましたか。

制度改定により、60歳以降の待遇が改善され、従業員のモチベーションが向上しています。また、採用では魅力ある待遇、労働条件等を示すことができました。当社としても労働力人口の減少による採用難が続くなかで、人材流出を防ぎ、従業員の定着率を向上させる対策が重要な課題となっていました。人件費の増加という痛みはありましたが、制度導入にはそれを上回る多くのメリットがあったと感じています。

人事管理制度の概要

■定年延長に伴う人事管理制度の対応

定年延長となる60代前半層の社員格付け制度、賃金制度や人事評価制度等の人事管理制度の対応について、60歳以前の制度が適用されたが、昇給幅の見直しと役職定年制度(60歳)が導入された。

退職金(確定拠出型年金制度)については、引き続き60歳まで掛金の積み立てとし、60歳時に一時金あるいは年金で受け取るか、そのまま個人で運用し続けるかを従業員が判断する対応がとられている。

■継続雇用制度

新しく導入された継続雇用制度は65歳の定年到達した従業員を対象にした一定の基準(健康状態に問題がない等)を設ける70歳までの規程による再雇用制度である。

継続雇用後はパート社員と同じ雇用形態と就業規則が適用される。原則として定年前の職域を担当し、勤務時間は週35時間、1日7時間を上限として、その範囲内で週の勤務日数、1日当たりの所定労働時間を弾力的に設定する対応が取られている。具体的には、再雇用者が勤務を希望する時間帯と店舗のニーズを勘案して話し合いにより決められている。基本給は時給制となり、その水準は原則として65歳時点の基本給を時給に換算した金額としている。昇給は行われないが、賞与は1か月の平均勤務時間の長さをもとにして算定される金額が支給される。人事評価はパート社員用の評価表を用いて行われている。

高齢従業員戦力化のための工夫

■人事評価表を活用した期待する役割の明確化

人事評価表に各従業員に求める業務内容を所属長が自由に設定できる項目が設けられている。高齢従業員に期待する役割もこの評価表を活用して明確にしている。

■年齢にかかわらない表彰制度

「現役の継続」という人材活用の基本方針のもと、同社は年齢に関係なく成績優秀な従業員を対象に表彰を行っており、高齢従業員も選ばれている。表彰は本社で行われ、役員が直接表彰状を授与している。

■働きやすい職場づくり

同社は従業員の定着率を上げるため、働きやすい環境づくりに取り組んでいる。その取組の1つが介護休業制度である。介護休業制度は法令では対象家族1人につき3回まで通算93日まで休業できるが、同社は最大で通算365日間の休業を取得可能にしている。こうした制度を整備することで、高齢従業員を含め従業員が安心して家族の介護をしながら仕事ができるようにしている。

「元店長であり60歳の役職定年後に、販売主任として活躍、販売額は全店でもトップクラス。その積極的な販売姿勢は他のスタッフにとって良い刺激となり模範となっている。」

■教育訓練

同社は年代にかかわらず研修やeラーニング等を通じ従業員のスキル向上を図っている。デジタル家電商品は、常に新商品が発売されるため、従業員は商品知識に関する最新の情報を更新することが不可欠であり、高齢従業員も例外ではない。

■ライフプラン研修

同社が従業員の高齢期に向けたキャリアサポートとして、50代の従業員を対象にライフプラン研修を実施している。その内容は、自分の強みを活かして会社に貢献できること、会社から期待されている役割は何かといった自己分析とディスカッション、定年延長制度の説明、60歳以降の年金、お金に関する説明などである。

健康管理・安全衛生・福利厚生

■健康管理の拡充

同社は年1回の健康診断の他に40歳以上の従業員に人間ドックを受診させているが、2024(令和6)年からその対象者を契約社員にも拡大した。受診結果が所見有の従業員に対し特定保健指導や保健指導を実施している。また50人以上の事業所の所属長に衛生管理者資格を取得させて、全従業員に対しストレスチェックを行っている。

■安全衛生

安全衛生面の取組として、同社は安全作業マニュアルを用意して、店舗でみられる転倒などの労働災害を防止するとともに、従業員が安全に業務をできるようにしている。例えば、店舗では重い商品は1人で持たず必ず2人で持つなどである。この他に店舗のDX化を進め、従業員に業務端末を配付して業務負担の軽減を進めている。

今後の課題

65歳定年制の実施は長い時間をかけて労使で慎重に検討したこと、そして導入してまだ2年ということもあり、今後の課題について現時点ではない。しかし、今後、運用していく上で、課題等がみられたら、労使で検討して対応していきたいと考えている。

図表.定年制度改定の概要

  改定前 改定後
定年年齢 60歳 65歳
社員格付け制度 ・職務等級制度 ・変更なし
役職定年 ・なし ・60歳
基本給 ・職務給 ・変更なし
昇給 ・年1回実施 ・60代の昇給幅を見直し
賞与 ・年2回支給
・「算定基礎額×支給月数×評価係数」により算出
・変更なし
人事評価 ・非管理職: コンピテンシー評価、業務遂行能力評価、業績(数値)評価
・管理職 : コンピテンシー評価、重点項目評価、業績(数値)評価
・変更なし
労働時間 ・フルタイム勤務 ・変更なし
確定拠出型年金 ・掛金:60歳まで
・受取:60歳時に
①一時金あるいは年金での受取 ②個人で運用、のいずれかを従業員が判断
・変更なし
 (出所)株式会社ケーズホールディングスへのヒアリングをもとに筆者作成

出所:70歳雇用推進事例集2026

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