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株式会社ノジマ

-定年後の運用による再雇用を80歳まで規定化-

  • 70歳以上まで働ける企業
  • 人事管理制度の改善
  • 賃金評価制度の改善
  • 戦力化の工夫

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  • 80歳までの継続雇用制度(基準あり)
  • 多様な勤務形態
  • 賃金・処遇制度改定
  • 職場の風土づくり
株式会社ノジマのロゴマーク

企業プロフィール

  • 創業
    1962年
  • 本社所在地
    神奈川県横浜市
  • 業種
    小売業
  • 事業所数
    1,329拠点 (2023年12月31日 時点)

導入ポイント

  • 「パフォーマンス評価」と「プロセス評価」の結果を処遇に反映させ人材を育成
  • 幅広い年齢層が活躍できる職場風土づくり
  • 高齢者の活躍の場を提供することにより社会に貢献 (※ 「創業支援等措置 」の「 社会貢献事業」とは異なる。)
  • 従業員の状況
    従業員数 8,602人 / 平均年齢 32歳 / 60 歳以上の割合 2%
  • 定年制度
    定年年齢 65歳
  • 70歳以上継続雇用制
    制度の有無 有 / 内容 80歳まで運用による再雇用を規定化(基準あり)
2023年12月31日 現在

同社における関連情報

企業概要

株式会社ノジマは、1962(昭和37)年設立のデジタル家電製品の販売事業を展開する企業である。本社をはじめ国内に1,329箇所の店舗を中心とする事業拠点を展開している。

従業員数8,602名(役員・顧問除く)で、雇用形態別には正社員2,710名、年齢別には60歳以上の従業員188名の構成となっており、正社員の平均年齢は32歳である。採用状況について、同社は新卒採用のほかに、第二新卒、中途採用等の通年採用も積極的に行っており、毎年400 ~ 500名程度を採用している。

雇用制度改定の背景

■経緯

2020(令和2)年6月までの同社の定年・継続雇用制度は「65歳定年運用」のみであった。新卒採用を始めたのは1988年頃であり、正社員で定年年齢に達する従業員がこれまでほとんどいなかったため、この時点では継続雇用については制度として制定されたものはなかった。当時、最高年齢78歳をはじめ、65歳以上のシニア従業員が50名程度勤務していた。同社で働くことが生きがいになっているというシニア従業員の声を受けて、従業員の健康維持、従業員の士気向上、社会貢献を目的として、同社は、2020(令和2)年7月に、現行の再雇用制度の80歳までの規定化を実施した。

(ベテランの力を活かす)

■雇用制度改定の課題と工夫

同社に労働組合はないが、今回の雇用制度改定に際しては、従業員への丁寧な説明を行い、意見交換をすることを通じて大きな課題はなく、スムーズに制度改定が行われた。

人事管理制度の概要

改定後の人事管理制度の概要は次の通りである。

■正社員

まず正社員の人事管理制度を概観すると、社員格付け制度はグレード制度と役職制度である。グレード制度は、全従業員を業務の期待値や達成度に基づいて格付ける制度である。役職制度については、本部は「部長-グループ長-リーダー」の3ランクから、店舗は「地区長-エリア長-店長-リーダー」の4ランクからそれぞれ構成される。なお、店舗にはマネジメント系の役職の他に、販売系の専門職の役職として「プロフェッショナルコンサルタント-エースコンサルタント」が設けられている。なお、同社は、役職定年を設けていないが、年代を問わず能力によって役職の昇格降格が活発に行われることで、企業の新陳代謝を促している。また、能力が伴っていても、面談などで指導的なポジションに代わりたいという意向を示す者が出てくることがある。そのような場合、役職を後進に譲り、育成をしつつラインスタッフとして活躍してもらうようなケースも出てくる。

(販売系の専門職「エースコンサルタント」)

賃金制度については、月例給は「基本給」「役職手当」に諸手当が加わる。基本給はグレード別レンジ給で、年2回(4月、10月)の昇給(同社は「昇降給」と呼称)が行われる。昇給は人事評価結果に基づいて各グレードに設けられた号俸のピッチが上がるが、評価結果が悪い場合は下がる。昇給の停止は行われず、定年まで昇給は行われる。賞与は年4回(6月、9月、12月、3月)支給され、その決め方は、年2回行われる人事評価の1回分が2回分の賞与に反映される。

人事評価については、業績に基づく「パフォーマンス評価」と行動をみる「プロセス評価」による総合評価(6段階)が年2回行われる。

退職金は、勤続年数3年以上を対象に、基本給と勤続年数によって支給額を決めている。定年の場合は60歳時に支給している。

■継続雇用者(再雇用者)

継続雇用者(再雇用者)の人事制度については、80歳まで規定化した再雇用制度について取り上げる。対象者は、65歳定年を迎えた正社員と無期雇用転換社員(契約社員)である。本人が希望した場合は、定年時の健康状態、勤務態度、職務遂行能力等を勘案して再雇用している。解雇や退職などの事由に該当しない限り、ほとんどの者が再雇用されている。雇用期間は、原則1年間である。主な雇用区分は、嘱託社員とアルバイトであり、嘱託社員は月給制のフルタイム勤務、アルバイトは時給制の短日・短時間勤務としている。仕事内容は、定年前の経験を活かし、引き続き定年前の職場で活躍してもらう対応がとられている。

社員格付け制度、賃金制度、人事評価制度等の人事管理制度は、正社員の制度をそれぞれ継続し、賃金水準(基本給)は見直されない。嘱託社員として引き続きフルタイム勤務をする場合、定年前の年収が維持される。アルバイトの場合、定年前の年収(月例給と賞与)を時給換算した金額をベースに時給額が決められている。再雇用者を対象とした退職金は支給していない。

高齢従業員戦力化のための工夫

■高齢従業員が活躍できる職場風土づくり

同社は、雇用区分、年齢、性別で区別することなく意欲・能力により仕事を任せる社風から、幅広い年齢層が活躍できる職場風土づくりの取組みを行っている。その1つとして、先に紹介した販売系の専門職の「エースコンサルタント」に再雇用者がついて活躍している。また、社内報で高齢従業員の活躍している姿を紹介して、若手従業員に意欲・能力次第で長く活躍できる環境と職場風土であることを伝えている。

(エースコンサルタントとして活躍)

■高齢者の採用

同社は50代以上の高年齢者の採用も行っており、その直近の実績は 2022年度は社員(正社員・契約社員)、臨時従業員合わせて、50代124名、60代27名、70代1名である。80歳を超えた従業員から期限を超えて働きたいという要望があった場合は、健康で意欲があれば是非継続して活躍してほしいという想いから、健康状態や勤務状態をふまえて雇用継続をしている。2021年11月をはじめとして、2024年1月末現在で3名、80歳以上で活躍している。

■年齢・雇用区分にかかわらない能力開発の実施

同社が実施している各種教育・研修は、年齢や雇用区分にかかわらず、必要に応じて実施しており、再雇用者の高齢従業員もその対象としている。デジタル家電商品は、常に新商品が発売されるため、従業員は、商品知識に関する最新の情報を更新することが不可欠である。それは再雇用の高齢従業員も例外ではない。同社は高齢従業員が希望すれば社内だけではなくメーカーでの研修にも参加が可能である。

(商品知識を拡充して接客にのぞむ)

健康管理・安全衛生

■健康管理

健康管理面の取組みについては、健康面やメンタル面など不安がある場合の相談窓口として、産業医との面談等を必要に応じて行う体制や、各店舗で開店前に店内放送でラジオ体操を実施できる環境の整備を行っている。

■ヒヤリハット調査による危険の発見・改善

同社は、作業改善の取組みとして、ヒヤリハット調査を実施し、危険の発見・改善を実施している。店内の床材や配線コードにつまづくなどした事例を共有し、全店で床材や配線で同様の状態になっていないか見直しを呼びかけたり、商品などを運ぶ際に腰を痛めた事例を共有し、腰痛防止対策の実施を呼びかけたりしている。

今後の課題

高齢者雇用に関する今後の課題として、同社は健康管理体制の拡充をあげている。先に紹介したように、若手従業員が多い構成となっており、従業員全体に占める60歳以上の比率は少ない状況にあるが、これから定年を迎える従業員が増えて行き、今後は高齢従業員が増えていくことが予想される。高齢従業員の健康状態には個人差があり、年齢を重ねていくとその差は大きくなる。本人の健康状態を自己判断に任せるのではなく、健康診断等を通してきめ細かく把握していくことが不可欠と考えており、健康管理体制の充実を今後の課題としてあげている。

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