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株式会社ダイイチ

ー継続雇用の上限年齢を70歳まで引き上げ、個別対応でその後も雇用ー

  • 70歳以上まで働ける企業
  • 人事管理制度の改善

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  • 70歳までの継続雇用
  • パート社員 70 歳定年
  • パート社員定年引上げ
  • 運用で70歳以上勤務可能
株式会社ダイイチのロゴマーク

企業プロフィール

  • 創業
    1958年
  • 本社所在地
    北海道帯広市
  • 業種
    飲食料品小売業
  • 事業所数
    22拠点(店舗)

導入ポイント

  • 雇用上限年齢を5歳引き上げ、70歳までの継続雇用制度に
  • 70歳到達後は両者のニーズが一致した場合、70歳以降も運用によりパート社員として雇用
  • 制度改定に併せてパート社員の雇用上限年齢も70歳に引き上げ、60歳超の応募者が増加
  • 従業員の状況
    従業員数 2,045名  / 平均年齢 48.8歳  / 60 歳以上の割合 60歳以上552名 27.0%
  • 定年制度
    定年年齢 70歳 / 役職定年 なし
  • 70歳以上継続雇用制
    制度の有無 有 / 内容 70歳まで継続雇用 希望者全員
2022年09月30日 現在

同社における関連情報

企業概要

株式会社ダイイチは1958年に設立した北海道を経営基盤に食品スーパーマーケット事業を行う小売業である。本社のある帯広エリアを中心に、旭川エリア、札幌エリアに22店舗を展開している。

同社の従業員数(2022年9月末現在)は2,045名で、雇用形態別にみた内訳は正社員347名、準社員(契約社員)77名、嘱託社員約45名で、残りパート社員1,576名である。60歳以上の社員は嘱託社員の45名及びパート社員の552名で、従業員の平均年齢(2019年7月19日現在)は48.8歳である。採用状況について、同社は店舗の店長及び本部スタッフ候補としての販売職の新卒採用を毎年20 ~ 30名程度行っており、2022年4月の採用実績は25名である。

継続雇用制度改定の背景

2016年9月までの同社の定年・継続雇用制度は「60歳定年、65歳までの継続雇用(再雇用制度)」であった。再雇用制度は60歳の定年年齢に到達する同社の正社員を対象に希望者全員を継続雇用する制度であった。なお、同社では雇用上限年齢の65歳に達した継続雇用終了者が引き続き働くことを希望した場合、運用により現場の個別対応でパート社員の待遇で継続雇用していた。

少子高齢化のもと人手不足が続く中で、社員に長く働くことができる雇用環境を提供し、ベテラン社員が持つ経験と能力を発揮してもらうことを目的として、2016年10月に雇用上限年齢を70歳に引き上げた。図表1はその概要を整理したものである。これに併せてパート社員の定年年齢もこれまでの65歳から70歳に引き上げた。

図表1 継続雇用制度改定の概要

継続雇用制度の概要

■ 継続雇用制度改定前~ 65歳までの再雇用制度

継続雇用制度改定前の高齢社員の人事管理制度は「再雇用制度」であり、図表2はその概要を整理したものである。
同制度の対象者は定年退職者で、希望者全員が再雇用者として継続雇用される。社員区分は嘱託社員で、雇用上限年齢の65歳まで1年ごとの契約更新が行われる。

賃金制度について、現役正社員とは異なり年俸制が再雇用者に用いられ、昇給、賞与は支給されない。賃金表は3ランクからなり、定年時の役職と等級によってランクに格付けられる。賃金水準は定年前に比べて60歳時、63歳時の2回に分かれて一定率減額される。なお、人事評価は行われない。

継続雇用後の仕事内容は長年、仕事を通して培った経験や能力を引き続き発揮してもらうため、原則定年前の仕事としている。定年時に役職を外れるため、継続雇用時は役職にはつかない。配置転換は現役社員と異なり、転居を伴わないエリア内での異動が行われる仕組みになっている。

勤務時間について、原則フルタイム勤務であるが、個別対応で短時間、短日勤務を行い、時間比例で賃金水準を減額している。退職金は定年退職時に支給され、継続雇用終了後の退職一時金等は支給していない。

■継続雇用制度改定後~雇用上限年齢が70歳に

継続雇用制度改定後について高齢社員の人事管理の変化を整理した図表2をみると、①雇用上限年齢が65歳から70歳に引き上げられたこと、②65歳時の賃金水準が一定率減額されたこと以外に人事管理制度の見直しは行われていない。対象者は同制度改定後の雇用上限年齢に到達した継続雇用者で、65歳を超えて引き続き継続雇用を希望する場合に、契約更新を行っている。また、70歳引き上げ時に、個別対応で雇用している65歳~ 70歳の継続雇用終了者のパート社員にも声を掛け雇用継続を呼び掛けている。

なお、雇用上限年齢の70歳に到達した者の中で引き続き継続雇用を希望し、同社としても引き続き働いてもらいたい場合、すなわち両者のニーズが一致した場合は運用による個別対応でパート社員として雇用している。

高齢社員戦力化のための工夫

同社は高齢社員の戦力化に向けた安全面や「設備」の配慮は、全員を対象にして取り組んでいる安全衛生の一貫として対策を講じている。また、店舗での品出し、荷物の運搬等、肉体的負担が伴う作業・業務については、日常的に社員全体がサポートしている。その一方で、同社は高齢社員への配慮の必要性を感じているのは通勤災害である。冬場の北海道は転倒骨折も多く、その中でも高齢者の割合が高い。同社でも昨年の冬場の通勤時転倒してケガする高齢社員がみられ、対策を講じていきたいと考えている。

制度改定の効果と今後の課題

制度改定の効果について、同社は70歳まで働ける環境が整備されたことで高齢社員のモチベーションの向上につながっていると考えている。また、人手不足が続いているなかで継続雇用制度改定に併せて実施したパート社員の雇用上限年齢の引き上げによる60歳以降のパート社員への応募も増え、反響があったことを同社は考えている。

今後の課題は人材確保を同社は挙げている。継続雇用制度改定によって高齢社員が長く活躍できる環境を整備することができたが、依然として人手不足の問題は続いている。今後とも人材確保に向けた取り組みを続けていくことを同社は考えている。最後に定年引上げについて、同社は現時点では導入の予定はないものの、今後とも社会情勢の変化を考えて情報収集を適宜、進めているとしている。

図表2 高齢社員の人事管理制度の変化
  継続雇用制度改定前 継続雇用制度改定後
名称 再雇用制度 再雇用制度
継続雇用上限年齢 65歳 70歳
社員区分 嘱託社員 嘱託社員
対象者 定年退職者 継続雇用終了者 (65歳)
契約期間 1 年契約 変更なし
基本給 年俸制 (3ランクの賃金表)
60歳、 63歳時に一定率の減額
65歳時に一定率の減額
昇給 実施せず 変更なし
賞与 支給せず (年俸制) 変更なし
人事評価 実施しない 変更なし
仕事内容 原則、 定年前の仕事を継続 変更なし
役職 役職はつかない 変更なし
配置転換 転居を伴わない転勤あり 変更なし
労働時間 原則、 フルタイム勤務。 ただし、 個別対応で
短時間、 短日勤務を実施。
変更なし
福利厚生 異なる (住宅手当など一部手当の支給なし) 変更なし
退職金 なし 変更なし

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