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株式会社日向屋

株式会社日向屋

  • 70歳以上まで働ける企業
  • 人事管理制度の改善
  • 戦力化の工夫

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  • 70歳定年制
  • 処遇に変化なし
  • 作業環境改善
  • 安全衛生管理
株式会社日向屋のロゴマーク

企業プロフィール

  • 創業
    1995年
  • 本社所在地
    宮崎県東臼井郡門川町
  • 業種
    食料品製造業
  • 事業所数
    1か所

導入ポイント

  • 定年年齢を5歳引き上げ70歳定年に、処遇はそのまま
  • 作業設備の改善を進め、作業効率の向上と社員の作業負担を軽減
  • 安全衛生管理・健康管理の改善を進め、社員の健康状態の把握に心掛ける
  • 従業員の状況
    従業員数 66名 / 平均年齢 49.5歳 / 60 歳以上の割合 28.1%
  • 定年制度
    定年年齢 70歳 / 役職定年 なし
  • 70歳以上継続雇用制
    制度の有無 該当せず
2019年09月18日 現在

同社における関連情報

企業概要

株式会社日向屋は、1995年に設立した鶏肉、豚肉を中心とした総菜の製造・販売を行う食料品製造業で、同社が立地する宮崎県東臼井郡門川町に工場1カ所を運営している。
同社の従業員数(2019年9月18日現在)は66名で、雇用形態別には正社員14名、無期転換社員10名、短時間パート社員42名である。60歳以上の高齢社員は18名で、全社員に占める60歳以上の割合は23.8%である。

採用状況について、中途採用を基本としている。新卒を一時期実施していたものの、確保が難しいことがその理由である。現在は即戦力の中途採用に頼っている状況にあるものの、今後は営業部門を中心に新卒採用に力を入れていくことを同社は考えている。
同社の職制は「部長-課長-係長-主任」である。

70歳定年制実施の背景

2009年2月までの同社の定年制度は「65歳」であり、同社設立時から実施されていた。人手不足が続くなか、長年の経験とスキルを持つベテラン社員が長く働き続ける環境の整備を目的として2009年3月に70歳定年制ならびにパート社員の定年年齢の引上げ(65歳から70歳)を実施した。図表1はその概要を整理したものである。

図表1 高齢社員の人事管理制度改定の概要

人事管理制度の概要

■70歳定年制実施前の人事管理制度

正社員の人事管理制度の概要を整理した図表2をみると、先述したように改定前の定年制度は65歳定年である。
人事管理制度について賃金制度の基本給は初任給に昇給を積み重ねる方式がとられ、昇給は年1回、人事評価結果によって決まる昇給が支給される。賞与は年2回、「基本給×賞与係数」による金額が支給され、賞与係数は人事評価結果に基づいて決められる。

人事評価は営業部門と製造部門で異なり、営業部は成績評価が、製造部門は意欲、能力、成果による総合評価が行われる。評価の手続は部門責任者(部長)が評価を行い、社長が必要に応じて調整を行う方式である。
役職定年は行われていない。勤務時間はフルタイム勤務で、退職金は定年退職時に支給される。

■70歳定年制実施後の人事管理制度

70歳定年制実施に伴う人事管理制度の改定は行われず、それまでの制度が継続された。なお、ヒアリング調査現在、70歳定年制導入後の定年年齢到達者の実績はない。

高齢社員戦力化のための工夫

70歳定年制導入時に同社が実施した高齢社員の戦力化に向けた主な取り組みについて、①能力開発の工夫、②作業施設の改善、③安全衛生管理・健康管理の改善の3つを取り上げる。

■能力開発の工夫

能力開発の主な工夫は「ケーススタディによる教育訓練の実施」である。営業部門における接遇やクレーム処理等のヒューマンスキル研修、生産部門における生産作業に必要な技能やIT化に伴うパソコン等の操作技術のテクニカルスキル研修等、同社が行う社員研修や教育訓練では実例を題材としたケーススタディが行われ、実践的なスキルや技術を習得させている。その際に、社員のスキルアップへのモチベーションを高めるために、研修の目的や社員に期待する役割を明確にしている。

■作業施設の改善

作業施設の改善の主な取り組みは「レイアウトの変更」「作業設備の改善」である。70歳定年制を導入した約10年前の同社の作業施設は原材料の搬入から製品の包装・搬出までの各工程が一連の流れになっていなかった。そのため、運搬作業などの間接工程が多く、ムダが発生し、作業負担が増大していた。さらに、工程の多くが立ち作業で手先を使った細かな作業が多いため、社員の疲労度が高く、腰痛などの疾患に悩まされていた。こうした作業施設の状況を踏まえて、「レイアウトの変更」「作業設備の改善」が行われた。レイアウトの変更では間接工程における移動による負担を軽減するため、床面のバリアフリー化などといったレイアウトの変更が行われた。

作業設備の改善では原材料を運搬する場合、これまで人手でよる運搬か、普通の台車に積み重ねる運搬が行われていた。そこで、同社はトレーの規格の統一化、トレー専用の台車、作業がしやすい作業台や補助台の製作など作業設備の改善を進めたほか、主力製品の成形工程、製造工程、包装工程の機械化を行い、作業効率の向上と社員の作業負担の軽減を図った。

■安全衛生管理・健康管理の改善

作業スペースの問題、立ち作業、火気の使用など作業による疲労が原因と考えられる体調不良を訴える社員がみられたため、同社は
健康管理・安全衛生管理の改善に取り組んだ。第1は作業グループ間における積極的な声掛けである。この取り組みによって社員同士
がお互いに体調に気にかけて共有するとともに、体調不良がみられた場合には速やかに帰宅できるように自宅までの送迎ができる体制を整備した。

第2は業務記録や清掃状況の確認である。食品に髪の毛が混入することを防ぐために、全社員を対象に帰着チェックを1時間ごとに行い、併せて健康状態を把握するため5Sを推進する専任担当者を設置した。

今後の課題

高齢者雇用の今後の課題は、継続雇用制度の整備である。同社には継続雇用制度が整備されていない。65歳定年制時代も含めて定年年齢到達した社員がいないことがその理由である。現時点の継続雇用制度の基本構想として、同社は処遇を変更せず、そのままの待遇で継続雇用に切り替えることを考えている。現在、60歳以上の正社員は2名(62歳)であり、この高齢社員が定年年齢に近づく段階になったときに具体的な検討に取り組むことを同社は考えている。

  70歳定年制導入前 (65歳定年時) 70歳定年制導入後
定年年齢 65歳 70歳
基本給 ・ 初任給に昇給を積み上げる方式 変更なし
昇給 ・ 年1回実施
・ 決め方 : 人事考課結果をもとに決定
変更なし
賞与 ・ 年2回支給
・ 決め方 : 基本給×賞与係数
変更なし
人事評価 ・ 営業部門 : 成績評価
・ 営業部門以外 : 意欲、 能力、 成果による総合評価
変更なし
仕事内容 ・ 59歳までの現役正社員と同じ 変更なし
役職 ・ 役職定年なし 変更なし
配置転換 ・ なし 変更なし
労働時間 ・ フルタイム勤務 変更なし
退職金 ・ 退職時 (65歳) に支給 変更なし (退職時 〔70歳〕 に支給)

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