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サミット株式会社

-定年延長、継続雇用により、売場を支える習熟人材を確保-

  • 70歳以上まで働ける企業
  • 人事管理制度の改善
  • 賃金評価制度の改善

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  • パート社員65歳定年
  • パート社員75歳継続雇用
  • 1年超で無期雇用化
  • 考課表で評価
サミット株式会社のロゴマーク

企業プロフィール

  • 創業
    1963年
  • 本社所在地
    東京都杉並区
  • 業種
    小売業
  • 事業所数
    114店舗

導入ポイント

  • パートタイム社員定年を65歳に引き上げるとともに、要件を満たせば75歳まで継続 雇用
  • 従業員の状況
    従業員数 約16,000名うち正社員約2,500名 / 平均年齢 35.8歳(正社員のみ) / 60 歳以上の割合 17%
  • 定年制度
    定年年齢 60歳 / 役職定年 無 / 期待する役割 定年前の役職・役割を基に、適正を考慮し管理職・担当者として勤務 / 定年後の賃金体系 月給(正社員)
  • 70歳以上継続雇用制
    制度の有無 有 / 内容 基準該当者を75歳まで継続雇用
2018年11月30日 現在

同社における関連情報

企業概要

サミットは、首都圏を地盤とする食品スーパーマーケット大手で、世田谷区、杉並区など東京西部を中心に、1都3県に114店舗を展開している。
正社員約2,500名(うち約100名は通勤時間60分以内の5店舗のみで働く地域限定正社員)、パートタイム社員(パートタイム社員約8,500名、アルバイト社員約3,700名、シニアパ—ト社員約1,200名)約13,400名が働く。パートタイム社員を1日8時間で換算すると、パートタイム労働者比率は約75%である。1年を超えて働いたパートタイム社員から、申し入れがあれば、無期雇用への転換を原則受け入れる制度がある。60歳以上社員の比率は、社員全体の約2割である。
平均的な店舗は、正社員約20名、パートタイム社員約85名、アルバイト社員約30名、合わせて約135名からなる。店舗は、店長—副店長—チーフ—担当者からなる。管理部門のほか、青果部門、鮮魚部門、精肉部門、総菜部門、調味料、乳製品や冷凍食品などを扱うグロサリー部門、ベーカリー部門、レジなどを担当するチェックスタンド部門からなる。1店舗平均の日商は約650万円、客数は3,300名である。商圏内は、顧客の年齢構成、家族構成や地域性などに違いもあることから、その特性に合わせた品揃え、売場づくりを行いドミナント戦略している。パートタイム労働者の採用などは店舗に任されているほか、首都圏の競合状況も厳しさが増しており、競争力ある店舗づくりが求められることから、店長、副店長の責任は重い。
来年度新卒の採用者数は、約120名で、うち大卒が100名弱、残りは高卒である。中途採用も積極的に行っている。

定年延長・継続雇用延長の背景

同社は、2016年12月に、パートタイム社員の定年を60歳から65歳に引き上げた。同時に、パートタイム社員を定年退職後再雇用した社員(シニアパート社員と呼称)の雇用上限年齢を75歳までに引き上げた(同社では、「定年延長」と呼んでいる)。
その背景には、人手不足がある。スーパーをはじめ小売業界は慢性的に人手が足りない業界である。少子高齢化、雇用情勢の改善によって、パートタイム社員も含め、採用がますます難しくなってきており、採用コストも上昇してきている。一方、食品スーパーマーケットでは、鮮魚部門、精肉部門など、技術・ノウハウの必要な部門も多い。グロサリー部門なども、扱う商品は8,000点以上と非常に多く、接客や商品知識などの情報がお客様にとって競合店との差別化に大きな意味をもっている。このため、同社では、男女差なく、幅広い年齢から社員を採用し、定着を図ることが重要と考えている。
2016年に行った定年延長、継続雇用は、働き手からの要望に応える意味もあったが、業務に習熟した人材のつなぎ止めに役立てたい、上限年齢を上げることによって、採用につなげたいとの思いからのものでもあった。併せて、有期雇用者の無期転換ルールへの対応についても早期に無期転換できる仕組みに変えた。
同社は、定年延長、継続雇用について、かなり早い段階から検討を開始した。人事制度検討委員会を設け、労働組合と時間をかけて話し合った末、検討開始後約2年半で実施に移した。

パートタイム社員の定年延長制度の内容

同社に限らず、スーパーマーケット業界は、パートで働く女性たちが売り場を支えている。それだけに、職場の重要な戦力と位置付けている。仕事の評価軸は年2回の人事考課である。パートタイム社員の場合は、意欲・態度・行動について重視しており、特に要素として強調・協力、接客・コミュニケーションといった項目を重要視している。

75歳までの継続雇用制度の内容

"パートタイム社員の定年延長と併せて、パートタイム社員として定年を迎えた社員を対象とした継続雇用制度の上限年齢を、70歳から75歳に引き上げた。直近の人事考課の結果と、自己申告制の健康確認シートで明らかな異常がないとを要件としている。例えば、視力に問題がないこと(商品の注意書きを読むことができること)、聴力に問題がないこと、
平衡感覚に問題がないこと(目を空けて片足で30秒以上立っていられること)などである。"
「シニアパート社員」という呼称で社員区分を設け、健康で働き続けるニーズがある社員に能力を発揮し続けてもらいたいと考えた。週契約時間は原則として20時間未満としている。
同社で働く65 ~ 69歳のシニアパート社員は各年齢200名余りである。また、70歳以上のシニアパート社員は約270名いる。「続けて働くことができるようになってありがたい」と、社員からの声も届いている。また、以前から担当していた業務を継続してもらうことが多いので、新規入社者の社員教育は必要なくなり、店舗運営上の負担軽減にもつながっていると考える。
定年を迎えたパートタイム社員の9割が、シニアパート社員として引き続き勤務している。

59歳以前の正社員人事制度

キャリア支援の拡充

正社員の人事制度は、20年前から職務給的要素を取り入れた人事制度を採用している。人事考課は、約30項目からなる役職別考課表を基に、仕事を評価する仕組みになっている。特に役職者は売上のみを重視するのでなく、仕事の中身を具体的な項目(部下育成、仕事の状態、安全・衛生、接客など)で評価を行っている。人事考課の結果で上方への格付変更(昇格)、もしくは降格となることもある。なお、正社員であっても、転居を伴う異動はない。

正社員の継続雇用制度

同社の正社員の定年は60歳、その後、勤務を希望する社員は、一定の人事考課結果を満たした者を65歳まで継続雇用する制度がある。定年後は嘱託社員となる。
さらに65歳以降働くことを希望する者は、シニアパート社員として働くことも可能で多くの正社員が各店舗で勤務している。

今後に向けて

75歳まで働ける制度というのは、かなり画期的な取り組みである。同社は、経験豊かな社員に長く働いてもらえるよう、働きやすさにはかなり配慮している。
社員が同社で働くことを「幸せ」と感じ、お客様が同店に来店されることを「幸せ」と感じ、お取引先様が同社とお付き合い頂くことを「幸せ」と感じ、すべての関係者の皆様に喜んで頂いている状態を「サミットが日本のスーパーマーケットを楽しくする」という事業ビジョンで表し、その実現に向けて取組んでいる。
今いる社員に長く働いてもらうだけでなく、長く働くことを希望する、意欲の高い者に選んでもらえるかが課題である。

図表1
社員区分と社員登用制度との関係
図表2 社員区分と処遇など
(出所)サミット株式会社のヒアリング調査をもとに執筆者作成。

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