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大和証券株式会社

-営業員の雇用上限年齢を廃止-

  • 70歳以上まで働ける企業
  • 人事管理制度の改善
  • 能力開発制度の改善

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  • 雇用上限の廃止(一部職種)
  • ベテラン向け研修制度
  • 介護支援
  • 健康支援
大和証券株式会社のロゴマーク

企業プロフィール

  • 創業
    1999年
  • 本社所在地
    東京都千代田区
  • 業種
    証券業
  • 事業所数
    155支店

導入ポイント

  • 営業員の雇用上限年齢を廃止
  • ベテラン向け研修プログラムを新設し、継続的なスキル向上を支援
  • 仕事と介護の両立支援、健康経営推進に向けた施策の実施
  • 従業員の状況
    従業員数 単体:8,942名(男性 5,171人、女性3,771人) 連結:9,316名 / 平均年齢 38.0歳 / 60 歳以上の割合 (未入力)
  • 定年制度
    定年年齢 60歳 / 役職定年 無 / 期待する役割 同じ / 定年後の賃金体系 -
  • 70歳以上継続雇用制
    制度の有無 有 / 内容 基準該当者を上限なしで継続雇用
2018年03月31日 現在

同社における関連情報

企業概要

大和証券株式会社は、今年で116年を迎える証券会社である。
証券業界では、2000年前後の金融業界の規制緩和により、多くの金融機関が証券業界へ本格的に参入してきたことや、“貯蓄から投資の時代”の中で顧客層やニーズも多様化するなど競争が激しくなり、ビジネス環境が大きく変化している。
同社の人員構成は40代後半がボリュームゾーンとなってきており、今後10年間でベテラン層の人員増加がさらに見込まれている。10年後には50歳後半になり、定年後の再雇用期間も含めてキャリアが長期化していく。
同社は、早くから、女性活躍推進を掲げ、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。2007年、「働き方改革」という言葉がまだなかった時代から、「19時前退社の励行」を始めるなど、ワ—ク・ライフ・バランスを意識した施策を打ち出している。女性活躍支援に向けて、女性キャリア支援研修や、管理職の意識啓発などに取り組んでおり、2018年6月末現在の管理職に占める女性比率は12.7%である。均等・両立推進企業表彰やキャリア支援企業表彰を受けていることでも知られている。

人事施策の概要

契約社員の正社員化

同社では、若手からベテランまで、全ての社員が持てる能力を発揮して、活き活きと働き続けられるよう、様々な施策に継続的に取り組んでいる。
社員が高いモチベーションの下で結束して最高のクオリティを発揮する組織を作っていくという方針を掲げ、「一人ひとりが自立的に活躍し続けられる環境整備」に積極的に取り組んでいる。
2005年からは資格取得や研修受講による一定の資格ポイントの取得を昇格の必要要件としている。従来の証券ビジネスはマーケットの知識を求められることが多かったが、5年後、10年後のビジネスを見据えた時にそれだけでは不十分であり、必要な知識・スキルも広がると考えたからだ。若手に限らず、ベテラン社員も含めて新しい知識・スキルを自発的に身に着けてほしいと考えている。
最も重視しているのは自ら学ぶ姿勢を社員に持ってもらうことで、そのため、研修メニューも多数用意している。現在の仕事や、今後のキャリアをどう歩んでいきたいかを自分で考え、選ぶことが自立的なキャリア形成につながると考えている。

継続雇用延長の背景

同社は、「女性活躍支援」「ワ—ク・ライフ・バランスの推進」のほか、「若手社員の育成」、「ベテラン層の活躍支援」にも力を入れている。
若手や女性だけでなく、ベテランの活躍支援にも力を入れているのは、ベテラン層がさらに増加することが見込まれていることに加え、豊富な経験や高度な専門知識を有する社員の活躍を更に促進していく必要があると考えたからである。
同社は2005年に、営業職である「上席アドバイザー制度」を導入している。翌年には意欲と能力の高い方に、定年後も活躍してもらう制度として「大和マスター制度」を導入した。
日本全体が超高齢社会を迎える中、企業においてもベテラン社員の活躍をさらに促進していく必要があるとの考えのもと、2013年には法定の雇用義務年齢を超えて最長70歳まで営業職である上席アドバイザーについて継続可能とした。さらに、2017年には、さらに上席アドバイザーの雇用上限年齢を廃止した。この改定により、経験豊富な社員がより長きに渡りお客様に寄り添ったコンサルティングが継続できるとともに、社員にとってもキャリアの選択肢が広がり、ライフプランに応じて働き続けることができるようになった。
現在、同社の最高齢の社員は69歳で、営業の第一線で活躍している。今後はこうしたベテラン社員の活躍で、高齢のお客様のさらなるニーズの開拓を推進していきたいと考えている。
かつては60歳をゴールとして一律で働いてきたが、ライフスタイルが多様化する中、これからはゴールは自分で決める時代である。同社はそれに応じて働き続けられる環境を用意したいと考えている。

ベテラン社員の活躍に向けた各種施策

ライセンス認定制度

2015年、同社は、45歳以上の社員を対象に、「ライセンス認定制度」を導入した。キャリアの長期化が進む中、45歳頃がいわばキャリアの折り返し地点になる。45歳以降も活躍してもらうには自己研鑚が大事である。
「ライセンス認定制度」は、45歳以降に取得した資格・研修および勤務実績をポイント化し、一定基準をクリアすればライセンス認定し、55才以降の処遇を優遇する仕組みである。ポイントは45歳までに取得した資格や受講した研修も加算する。また新たにこの層に向けたASP研修(Advanced Skill-buildingProgram)を用意。これは、スキル向上・健康増進のためのe-ラーニングを中心とした40講座以上からなる研修プログラムである。専門性を更に磨くビジネススキル、マネジメントスキル、一般教養、健康リテラシーを高める講座等を用意しており、1講座あたり5~ 10時間程度のかなり重厚なプログラムとなっている。導入してから約3年たつが、受講数は累積で16,000講座に及ぶ。「学びたい」という意欲・意識は年齢を重ねても変わらないことを感じている。

仕事と介護の両立支援

今や介護は誰もが直面するライフイベントになりつつある。ベテラン層の社員にとって親の介護は切実な問題である。
そこで、2016年度から仕事と介護の両立支援を充実させており、介護のプロに様々な相談ができる「介護コンシェルジュサービス」を導入している。同社は、介護による休職期間を1095日と定めており、法定よりもかなり長い。相談しやすい環境づくりのほか、在宅勤務制度等も導入し、社員の仕事と介護の両立を支援している。

健康経営

全ての社員が活き活きと働き続けるためには、社員の健康こそが土台と考えており、2008年より健康経営に積極的に取り組んでおり、2015年からさらにその体制を強化している。経済産業省と東京証券取引所が共同で主催する「健康経営銘柄」にも4年連続選定されている。
社員の健康づくりを支援する「KA・RA・DAイキイキプロジェクト」は、健康増進のイベントへの参加や目標達成にポイントを付与し、健康関連グッズや社会貢献への寄付と交換できる仕組みとなっている。
また、がんに罹患した社員が働き続けられるよう「ガンばるサポート~がん就労支援プラン~」を導入し、仕事とがん治療の両立を支援する等、様々な形で社員の健康保持・増進に取り組んでいる。

今後の課題

営業員の雇用上限年齢を廃止したが、実際に、70歳を超える社員が働くようになるのは、まだこれからである。社員からは、当制度の導入により「キャリアパスの選択肢が増える」と受け止められているようだ。現時点では、同社は60歳以上社員の割合が低いが、今後この割合は高まる見込みであり、更なる活躍支援に向けた同社の取り組みが期待される。

図表1 大和証券におけるベテラン人材活用に向けた主な取り組み 大和証券におけるベテラン人材活用に向けた主な取り組み
(出所)大和証券株式会社提供資料より

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