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みやぎ生活協同組合

-65歳定年後も、高齢職員の経験をしっかり活用-

  • 70歳以上まで働ける企業
  • 人事管理制度の改善

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  • 65歳定年制
  • 役割等級制度導入
  • 人事考課制度の見直し
  • 人材確保
みやぎ生活協同組合のロゴマーク

企業プロフィール

  • 創業
    1982年
  • 本社所在地
    宮城県仙台市
  • 業種
    協同組合
  • 事業所数
    71か所

導入ポイント

  • 全職員区分に対し、役割等級制度を導入するとともに、プロセス重視の人事考課制度を導入
  • 65歳定年延長と併せて、業務に必要な場合に生協が雇用を申し込むことができる70歳継続雇用制度を導入
  • 従業員の状況
    従業員数 6,970名(関連団体等への出向者を含む) / 平均年齢 46歳 / 60 歳以上の割合 18.4%
  • 定年制度
    定年年齢 65歳 / 役職定年 無 / 期待する役割 - / 定年後の賃金体系 年齢給部分が60歳から減額
  • 70歳以上継続雇用制
    制度の有無 有 / 内容 基準該当者を70歳まで継続雇用
2018年06月01日 現在

同社における関連情報

企業概要

みやぎ生活共同組合は、宮城県を事業エリアとする生活協同組合である。1982年に宮城県学校生協と宮城県民生協が合併して誕生した。全国でも有数の規模で、2017年度における組合員数は約73万人強、県内世帯の加入率は74.5%、供給高1,038億円にのぼる。
生鮮食品、食品、日用雑貨、衣料品などの供給事業のほか、共済などサービス・保障事業、灯油・ガス・電気などエネルギー事業などを行っている。50店舗のほか、共同購入部センター、学校部支所、生産部、リサイクルセンターがある。
2018年6月現在の職員数は6,970名で、レギュラー職員1,086名(男性845名、女性241名)、エリア職員247名(男性27名、女性220名)、嘱託職員379名、パート職員3,856名、アルバイト職員1,402人からなる。
レギュラー職員は、本部採用で転勤があり、職位の上限はなく、店長、センター長、統括、部長などのマネジメント系職位のほか、バイヤーやスーパーバイザー、店舗運営統括、管理部門スタッフとして力を発揮することが期待されている。エリア職員は、パート職員から登用される勤務地・職種限定型の正職員で、転居を伴う転勤がなく、職位は副店長までである。嘱託職員は、勤務条件を個別に定めた職員や定年後の再雇用者である。パート職員は地域・職種が限定されており、販売員、キャッシャー、店内加工、配送などの業務を行う。
標準的な店舗は、店長、副店長、各部門チーフ・担当者約10名、パート職員約100名からなる。
同生協は、店舗販売の割合が高く、職員の配置状況は、店舗が約4,800名、配達業務が約800名、本部管理部門約800名などとなっている。
業績不振により、採用を抑えていた時期があったため、30代後半から40代前半層の職員数は少ない。なお、現在は、新規学卒者を毎年60 ~ 70人採用している。

人事労務管理制度

役割等級制度

同生協では、2013年3月21日以降、役割等級制度を採っている。背景には、中堅層の職員が少ないために、若い職員を部門チーフなどの役職に就けないと仕事が回らないという事情があった。職能等級制度の下では、若い職員の賃金が低く抑えられるために、若い職員を役職に就けると、職責と賃金が逆転してしまい、モチベーションが低下するといった問題もあった。このため、同生協では、それまで行ってきた職能資格制度を廃止し、レギュラー職員、パート職員など全職員区分に共通の役割等級制度を設けた。
等級は、全部で13段階あるが、レギュラー職員には13段階すべて(一般Ⅰ~Ⅲ、中級管理Ⅰ~Ⅳ、上級管理Ⅰ~Ⅳ、経営管理Ⅰ~Ⅱ)、エリア職員にはうち7段階(一般Ⅰ~Ⅲ、中級管理Ⅰ~Ⅳ)、パート職員にはうち3段階(一般Ⅰ~Ⅲ)が適用される。

人事考課制度

役割等級導入と併せて人事考課制度も変更した。それまでの人事考課では、業績に偏重しがちだったが、これを業績達成に向けたプロセスを重視したものとし、目標値が達成できていなくとも、今後につながる取り組みをしていれば、評価することとした。
役割基準の人事制度と、業績だけでなく、業績達成に向けたプロセスを重視した人事考課制度を導入したことにより、すべての職員区分の職員に、今後につながる取り組みを行っているか意識させ、それまで以上に職員に活躍してもらえるようになったという。

制度改善の背景

同生協は、2013年に、60歳定年後、65歳まで希望者全員を対象とする再雇用制度を設けた。改正高年齢者雇用安定法施行に伴う措置である。
レギュラー職員、エリア職員は嘱託職員として、パート職員はパート職員のままで再雇用することとなった。嘱託職員の業務内容と労働条件は職員個別に定めることとし、パート職員の時給は60歳時と同じとした。
この再雇用制度により、大半の職員が60歳定年後も働き続けてくれるようになったが、中堅職員は、まだ育っていなかった。このため、経験を有する人材の確保は必要不可欠であった。

定年・継続雇用制度の内容

そのような状況を踏まえ、2016年3月、同生協は、定年を60歳から65歳に引き上げた。また、継続雇用制度を見直し、定年退職者で業務に必要と生協が判断した者を70歳まで雇用できるようにした。

定年制度

定年延長により、65歳となって最初の3月20日に定年を迎えることとなった。役職定年制は設けなかったため、60歳以降も、仕事の内容は変わらない。
一方、賃金については、基本給の中の年齢給部分を60歳以降少しずつ減額することとした。60歳時に1万円下がり、61歳時にさらに1万円下がる。62歳時にさらに1万円下がり、その後は下がらない、といった具合である。

継続雇用制度

定年延長と併せて、定年退職者で業務に必要と生協が判断した者を70歳まで雇用できるようにした。65歳以降、1年毎に契約を更新し、70歳以降は更新しない。レギュラー職員、エリア職員はシニア嘱託職員またはシニアパート職員として再雇用される。
レギュラー職員及びエリア職員の給与条件は、個別に定めるが概ね60歳時の7 ~ 8割、パート職員は定年退職時の雇用契約と役割ステージにより2段階の時給設定とした。
「部長スタッフ」として職員教育を担当するシニア嘱託職員や、「副店長」として店長をサポートするシニア嘱託職員もいる。
70歳継続雇用制度は、これまでのところ、うまく機能しているという。

制度導入に当たって

同生協では、2013年に再雇用制度を導入した際は、高齢者が働く場を用意できればよい、と考えていたが、2016年に定年延長、継続雇用延長を行うにあたっては、いかに処遇するかに知恵を絞ったという。労働組合とも協議を重ね、現場の声を聴きつつ、制度改善に取り組んだ。
高齢になっても働けるよう、宅配業務に使うトラックのサイズを小型化するなど、作業環境についての検討も行っている。
さらに、定年延長後の2017年4月、本部に健康管理室を設置し、産業看護師を新たに採用した。健康相談業務や2次検診の受診勧奨などを行っている。

今後の課題

同生協にとっては、当面、職員の採用が最大の課題である。70歳まで働ける継続雇用制度を導入したので、しばらく業務は回るが、その後のことを考える必要があるという。

図表1 レギュラー職員及びエリア職員の60歳以降の処遇など レギュラー職員及びエリア職員の60歳以降の処遇など
(出所)みやぎ生活協同組合のヒアリング調査をもとに執筆者作成。

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