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株式会社ロック・フィールド

-段階的に定年を引上げるとともに、継続雇用の上限年齢を70歳に引上げ-

  • 70歳以上まで働ける企業
  • 人事管理制度の改善
  • 戦力化の工夫

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  • 段階的に定年延長
  • 70歳までの継続雇用
  • 全員参加の説明会
  • 2つの継続雇用コース
株式会社ロック・フィールド のロゴマーク

企業プロフィール

  • 創業
    1972年
  • 本社所在地
    兵庫県神戸市
  • 業種
    食料品製造業
  • 事業所数
    4ヶ所

導入ポイント

  • 65歳定年制を段階的に実施、併せて継続雇用の上限年齢を70歳に引上げ
  • 従業員の状況
    従業員数 1,547名 / 平均年齢 35.9歳 / 60 歳以上の割合 2.6%
  • 定年制度
    定年年齢 63歳 / 役職定年 無 / 期待する役割 経験に基づいた専門性の発揮 / 定年後の賃金体系 59歳以下の正社員と同じ(図表1参照) / 戦力化の工夫 キャリア支援の実施
  • 70歳以上継続雇用制
    制度の有無 有 / 内容 基準該当者を70歳まで継続雇用
2018年08月23日 現在

同社における関連情報

企業概要

株式会社ロック・フィールドは、1972(昭和47)年に創業した総菜の製造・販売事業を行う食品製造業で、本社の神戸の他に国内3カ所の事業拠点を展開している。
同社の従業員数(2018年4月30日現在)は正社員1,547名(嘱託社員を含む)、パート、アルバイト(8時間換算)3,111名である。正社員の平均年齢は35.9歳で、年齢別構成は60歳以上が39名で、いずれも改定前の継続雇用制度による嘱託社員である。最高齢は66歳である。
採用状況について、同社は毎年100名程度の新卒者を採用しており、2018年4月採用実績は105名である。

65歳定年制実施の背景

2018年4月までの同社の定年制度は「60歳定年、65歳までの継続雇用(再雇用制度)」であった。就労ニーズの多様化と年金受給開始年齢が引き上げられていることを背景に2018年5月に65歳定年とするとともに、併せて再雇用年齢の上限を70歳に引き上げた。なお、定年年齢の引上げは段階的に実施される(2018年5月から63歳、2021年5月から64歳、2024年5月から65歳)。年金支給開始年齢の段階的な引上げへの対応と有期雇用への不安の解消がその背景にある。

定年延長について

対象者

対象者は65歳定年制実施以降に60歳に到達する正社員であり、それまで嘱託社員として再雇用されていた高齢社員は対象外としている。

60歳以上の社員に求める役割・職務内容

高齢社員に求める役割について、同社は経験に基づいた専門性を発揮して60歳以降も戦力として活躍してもらうことをあげている。

定年延長後の雇用

制度導入後間がないため、まだ60歳以上の正社員は少ない。

同社の企業理念

人事管理制度

高齢社員の人事管理(定年延長前)

図表1は60歳以上の高齢社員の人事管理制度を65歳定年制実施前と実施後の変化を整理したものである。同社の65歳定年制実施前の人事管理制度は継続雇用制度(再雇用制度)であり、今までの経験に基づいた知識・技能を用いて担当業務に従事する「嘱託社員」と、高度な専門性を駆使して、会社の運営に大きく影響する重責ポストを担当する「プロフェッショナル社員」の2つのコースが設けられていた。
両コースとも1年ごとの契約更新が継続雇用の上限年齢の65歳まで行われ、継続雇用の区分は嘱託社員であった。
賃金制度について、基本給はコースごとにランクに基づく賃金表が設けられていた。賃金表への格付けは定年後に担ってもらう役割によって決められていた。賞与は支給していなかった。
勤務時間については、59歳以下の正社員と同じフルタイム勤務でその仕事に従事していた。

同社提供 

高齢社員の人事管理(定年延長実施後)

継続雇用時の人事管理制度と異なるのは、以下の点である。
まず社員区分は嘱託社員から正社員になり、賃金制度、昇給、手当などの処遇制度、評価制度、福利厚生制度は59歳以下の正社員と同じ扱いになる。
仕事内容は60歳以降もそれまでの仕事を引き続き担当する。配置転換は59歳以下の正社員と同じように業務上の必要性に応じて行われる。
また定年延長と同時に嘱託社員の再雇用の上限年齢を65歳から70歳に引き上げた。定年延長実施前の再雇用の時と同じように、定年後に担ってもらう役割に応じて、シニアエキスパート社員とプロフェッショナル社員の2コースを設けた。処遇についても、定年延長実施前の再雇用の時と同じである。

59 歳以下の正社員の人事管理

59歳以下の正社員の人事管理制度を概観すると、まず賃金制度について、基本給の構成は全国転勤を行うナショナル正社員が地域年齢給と実績給、勤務地や労働時間を限定できるリージョナル正社員は資格給、役職者は役職給である。ナショナル正社員の実績給とリージョナル正社員の資格給を例にそれらの決め方をみると、両賃金とも能力によって決まる資格別号俸給で人事評価(能力評価)によって昇給が行われる。
人事評価は能力評価と目標評価が行われ、能力評価は実績給と資格給に、目標評価は賞与にそれぞれ反映される。
勤務形態は、間接部門(オフィス)はフルタイム勤務の週休2日制、直接部門(製造現場、店舗)は交代制の週休2日制がそれぞれとられている。
配置転換は事業拠点間で行われているが、リージョナル正社員は行われない。
退職金制度はない。

同社提供

制度を運用するうえでの工夫

キャリア支援の実施

キャリア支援の実施について、同社は40歳到達者と50歳到達者を対象にキャリア研修を実施している。40歳到達者向けの研修はキャリアの棚卸しを目的に、50歳到達者向けの研修はセカンドライフを考えてもらうことを目的に、それぞれ行われている。研修期間はいずれも1日。

全社員対象の説明会の実施

全社員を対象に各事業所で65歳定年制を含めた新人事制度説明会を1 ヶ月半かけて実施した。

今後の課題

同社では定年を引上げてから、まだそれほど時間がたっていないため、現状においては大きな課題は見当たらないが、70歳までの雇用を前提とした、社員個々の専門性の強化をすすめていく必要があると認識している。今後は制度を確実に運営していくとともに、キャリア形成に資する人事政策の策定に取り組んでいきたいと考えている。

60歳~65歳の社員の人事管理制度の変化
1)定年後、一定の要件を満たす者については70歳まで嘱託社員として継続雇用する制度あり。
(出所)株式会社ロック・フィールドのヒアリング調査をもとに執筆者作成。

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