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株式会社ヨロズ

-継続雇用の選択肢を複数用意し、さらなる活躍に期待-

  • 70歳以上まで働ける企業
  • 人事管理制度の改善
  • 戦力化の工夫

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  • 優秀な管理職の確保
  • コース別継続雇用
  • 柔軟な勤務時間制度
株式会社ヨロズ のロゴマーク

企業プロフィール

  • 創業
    1948年
  • 本社所在地
    神奈川県横浜市
  • 業種
    輸送用機械器具製造業
  • 事業所数
    21か所

導入ポイント

  • 人材不足に対応するため、60歳定年後の継続雇用の上限年齢を65歳から70歳に引上げ。
  • 65歳までは、「職制契約社員」(フルタイムで役職継続)、「嘱託SE」(フルタイムで役職なし)、「嘱託」(短時間勤務で役職なし)の3タイプで継続雇用。
  • 65歳以降は、「嘱託EE」又は「派遣社員」として継続雇用。
  • 従業員の状況
    従業員数 541名 / 平均年齢 37.2歳 / 60 歳以上の割合 (未入力)
  • 定年制度
    定年年齢 60歳 / 役職定年 有
  • 70歳以上継続雇用制
    制度の有無 有 / 内容 希望者全員を70歳まで継続雇用
2017年06月01日 現在

同社における関連情報

企業概要

ヨロズは、横浜市に本社を置く自動車部品メーカーである。国内メーカーのほか、海外メーカーにも出荷しており、自動車足回りのサスペンション部品の供給では国内トップクラスである。
仕様書に沿って部品を製造するだけではなく、ニーズを先取りした製品の設計・開発・提案を実施している。
もとは日産の系列企業だったが、1999年に資本提携を解消され、海外に販路を求めた。
現在では、アメリカ、アジア等に拠点を展開するグローバル企業で、売上の約8割が海外売上で占める。グループ全体で、例年新卒者を90名程度(大卒、高卒、約50%の割合)採用しているほか、20名程度の中途採用を行っている。

継続雇用延長の背景

急速にグローバル化が進んだことから、同社では、海外拠点で技術やマネジメントを指導できる人材が必要となった。特に、アジア地域に拠点を設けた場合、各機能職制をフルセットで派遣し、指導することが必要である。海外拠点にかなりの人員を割かねばならないことから、同社では、人材が恒常的に不足するようになっていた。
少子高齢化が進む中、女性、高齢者、障害者など多様な人材をこれからどう活用していくかについて検討を行い、その一つとして高年齢者の活躍推進案を作成した。
それまで、同社では、60歳で定年を迎えたあと、希望すれば業務量によってはフルタイム勤務も可能であったが、原則として短時間勤務(4時間)の嘱託社員として再雇用され65歳まで働くことができた。
しかしながら、それでは、60歳以降の社員が十分に力を発揮しているとは言えない。そのため、高齢社員がさらに力を発揮できるよう、65歳までの働き方の選択肢を増やすとともに、継続雇用の上限年齢を引き上げることとなった。トップダウンではなく人事部が中心となって話し合って決めたものである。
こうして、「65歳まで」と「65歳以降70歳まで」の制度を分けて考え、65歳までは、できるだけ59歳以前と同じように力を発揮してもらい技能を有する社員には伝承・後継者育成を担ってもらう。その一方で働き方について、多様なニーズが出てくる65歳以降は、そうしたニーズに応えつつ、得意なところを活かして働いてもらおうということになったのである。

継続雇用制度の内容

60 ~ 65歳までの制度

同社では、2017年4月1日から、新たな継続雇用制度を導入した。新制度では、定年後65歳までの働き方として、①定年時点において役職者であった者を対象とした「職制契約社員」、②役職に関係なく8時間勤務を基本とした「嘱託SE(Senior Expert)」、③短時間勤務(4時間)の「嘱託」の3つを設けた(図表1)。
「職制契約社員」は年度単位の契約で、役職、仕事内容、労働時間とも定年前と同じである。例えば、定年前に総務部長であった社員は、定年後も65歳まで総務部長として引き続き勤務することが可能となった。リーダーシップや課題解決能力など管理職として必要な能力を備えており、かつ経営トップの承認を得た者が対象となる。現在4名の「職制契約社員」が在籍している。

フロントサスペンションメンバー:車体を支える骨格。強さと軽さが求められる。

「嘱託SE」はフルタイムの再雇用嘱託で、誕生日が属する月の翌月から1年単位の契約となる。仕事内容は原則定年前と同じである。現在1名が嘱託SEとして継続雇用されている。
いずれの雇用形態においても60歳以降の賃金は月給制で賞与もある。職制契約社員は給与・賞与ともに定年前と同等であるが、嘱託SEは59歳までの年収の70 ~ 75%の水準となる。
一方、「嘱託」は、従来からあった短時間勤務の契約社員である。賃金は時給制で賞与はない。59歳までの年収の70%~ 75%をベースに時給換算している。勤務時間は半分の4時間となるため、年収ベースでは約35%となる。
福利厚生に関しては定年前と同様であり、社宅にも入居できる。
60 ~ 65歳社員に対して、短時間勤務という形態を残した理由であるが、これはリーマン・ショック後経済環境悪化の煽りを受け生産が減少、ワークシェアリングにより人員削減を回避した経験と関係する。短い労働時間を経験した社員の中には、かえってその方がよいという社員もいたため、短時間勤務(4時間)という選択肢を残したのである。

図表1 60 ~ 65 歳までの継続雇用制度における働き方 図表1 60 ~ 65 歳までの継続雇用制度における働き方
同社へのヒアリングに基づき作成

65 ~ 70歳までの制度

高い技能を有し、会社が認める者については、65歳以降70歳を上限に「嘱託EE(Emeritus Expert)」として継続雇用し、これまでと同じ職場で引き続き技能伝承を含む後継者の育成を担ってもらう。
その他の社員は、子会社の派遣会社である「ヨロズサービス」に転籍し、本社の特定のプロジェクト期間の業務やスポット的な応援業務に就いてもらう。社内に該当する業務がない場合は、関連会社等外部の仕事に就いてもらうことになる(図表2)。
いずれの働き方においても、時間当たり賃金は60 ~ 65歳と同水準であり、福利厚生も同じである。
しかし地元自治会の役員や民生委員など地域に貢献している社員もおり、今のところ65歳を過ぎても働きたいという者は多くない。技術系・事務系の社員の中には働きたい者が比較的多いが、製造現場の社員で働きたい者は少ない。

図表2 65 ~ 70 歳までの継続雇用制度における働き方 図表2 65 ~ 70 歳までの継続雇用制度における働き方
同社へのヒアリングに基づき作成

高齢者に求める役割

同社では社員に対し、65歳までは定年前同様力を発揮してもらうことを期待している。特に高度な技能を有する社員に対する期待は大きい。
高齢社員にも、海外の拠点で技術指導・育成にあたってもらえることが理想だが、高齢になると健康面で不安が出てくる。現在、海外で勤務する継続雇用者は4名おり、うち1名は65歳を超えている。

今後の課題

現状、同社では何とか新卒者を確保できており、社員の定着も良好だが、海外からメガサプライヤーと呼ばれる、巨大な部品供給会社が日本に進出しつつある。今後、引抜き、転職などが増えることも考えられる。自動車メーカーが電気自動車開発等にエンジニアを投入するようになれば、その分、部品メーカーの仕事は増えると考えられる。このため、人手不足はしばらく続くとみているが、そのような中で、会社としての魅力を増し年齢にかかわりなくよりよい人材を確保していくことが必要だと考えている。

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